4。複素数と2次方程式
1.2次方程式
<解の公式>
実数係数の2次方程式[quadratic equation]ax2+bx+c=0(aは0でない)の解は
(理由)平方完成による。
実数係数の2次方程式ax2+2b'x+c=0(aは0でない)の解は
(理由) 上式のbに2b'を代入すると、√の中を4でくくることができる。
それを√の外に2として出す。
すると、分子のb',√、分母にそれぞれ、2があるから、約分する。
(例)x2+x+1=0の解は?
とおくと、
(例)x3=1の解は?
x3-1=(x-1)(x2+x+1)=0から、x=1,
<判別式と解の分類>
実数係数の2次方程式ax2+2b'x+c=0(aは0でない)で、
判別式(D=b2-4acまたは、D/4=b'-acは解の公式の√の中の部分にあたる。)
「判別式が正」⇔「2つの実数解(異なる解)」
「判別式が0」⇔「1つの実数解(重複解)」
「判別式が負」⇔「2つの虚数解(共役複素数解)」実数の範囲では解なしで、複素数の範囲では解あり。
このとき、解は判別式に−1をかけてとかける。
(例)解の分類をしよう。x2+3x+2=0、x2+2x+1=0、x2+x+2=0
D=9−4・2=1>0で2実数。D/4=1−1=0で重解。D=1−4・2<0で2虚数解
判別式は実数係数の2次方程式にしか使えない。係数が複素数のときは、実部と虚部にわける。
(例)「2次方程式(1+i)x2+(a-i)x+2(1-ai)=0が実数解をもつ実数定数a」は?
iについて整理する。(x2+ax+2)+(x2-x-2a)i=0となり、実数xについてx2+ax+2=x2-x-2a=0
(a+1)x+2(1+a)=0 だから、(a+1)(x+2)=0 a+1=0 またはx=-2。
a+1=0なら、x2-x+2=0 x=(1±√1-8)/2 は虚数となり実数解ではないからダメ。
x=-2のときxは実数解。x2+ax+2=4-2a+2=6-2a=0から、a=3となる。
<複素数解と因数分解>
数の範囲を実数から複素数にひろげると、多項式の因数分解が1次式の積に分解しきることができる。
たとえば、x4ー1=(x2-1)(x2+1)=(x+1)(x-1)(x2+1)の先にいける。
x2+1=x2-(-1)=x2-i2=(x+i)(x-1)と分解できるので、x4ー1=(x+1)(x-1)(x+i)(x-i)と因数分解できる。
(例)「m2+n2を複素数の範囲で因数分解」すると?
+n2=-(-1)n2=-(n i)2と置き換えると、 と分解できる。
(例)「(m2+n2)(p2+q2)=(mp-nq)2+(mq+np)2が成り立つ」理由は?
左辺を因数分解してから、かけ算のペアを変えてみよう。
=
=(mp-nq)2+(mq+np)2
2.解と式の関係
<解と係数の関係>
2次方程式ax2+bx+c=0(aは0でない)の解をα、βとすると、
a(x-α)(x−β)=ax2-a(α+β)x+aαβ=0と係数を比較して、となる。
ただし、2つの解α、βは異なるとは限らない。
ただし、2つの解α、βは実数とは限らない。
つまり、解がどんなときでも使える。
(例)x²+x+1=0のとき、α+β=-1、αβ=1。
(例)1+2i,1-2iを解とする2次方程式で2次の係数が1のものは?
1次の係数は解の和2にマイナスをつけて-2、定数項は12+22=5。
(例)とするとき、次の値は?
の共役複素数で、x²+x+1=0の解だから、。
。
<解の正負と係数の関係>
2実数解をもつとき、判別式が非負。
2解とも正は、解の和、積がともに正。
2解とも負は、解の和が負で、積は正。
正と負の2解なら、積が負。
(例)x²+bx+1=0が2実数解をもち、2解とも正は、
D=b²-4>=0で、α+β=-b>0から。
(例)x²+bx+1=0が2実数解をもち、2解とも負は、
D=b²-4>=0で、α+β=-b<0から。
(例)x²+x+c=0が2実数解をもち、正と負を1つずつもつは、
αβ=c<0。(c<0ならD=1−4c>0)
(例)2つの放物線y=x²とy=-(x-p)²+p+2の2交点のx座標α、βについて、
E=(α−β)²の値の範囲は?
2交点があるなら、x²+(x-p)²-(p+2)=2x²-2px+p²-p-2=0の
D/4=p²-2p²+2p+4=-p²+2p+4=-(p-1)²+5=f(p)とする。
y=f(p)の頂点は(1,5)であり正だから、yは5以下で正。
解と係数の関係から、α+β=p、2αβ=p²-p-2だから、
E=(α+β)²-4αβ=p²-2(p²-p-2)=-p²+2p+4=D/4。
したがって、Eも5以下で正。
(例)「a>0なら、2次方程式f(x)=x2+ax-1=0, g(x)=x2-x-a=0がともに2実数解をもち、
f=0の解の1つだけがg=0の解の間にある」理由は?
a>0なら判別式Df=a2+4、Dg=1+4aともに正だから、ともに2実数解をもつ。
g=0の2解をα,βとすると、α2=α-a,β2=β-a、α+β=1,αβ=-aの4式によって、αとβの式の次元下げとaの式化ができる。この2解を他の関数fに代入すると、f(α)とf(β)が異符号になれば、この解の間でf=0がx軸と交わる。f(α)f(β)=(α2+aα-1)(β2+aβ-1)=.......=-a(a2+3)はaが正なら、負になるから交わる。
<極形式と2次方程式>
解と係数の関係は、虚数の場合も成り立つので虚数解から2次方程式を作ることもできる。
2つの虚数解は共役だから、※極形式でα=rcosθ+rsinθ iとすると、β=rcosθ -rsinθ i。
α+β=2rcosθ、αβ=r²
だから、2次方程式はx²-2rcosθx+r²=0となる。
特に、θ=0のときは、cosθ=1だから、
2次方程式はx²-2rx+r²=(x−r)²=0
特に、θ=πのときは、cosθ=−1だから、
2次方程式はx²+2rx+r²=(x+r)²=0
特に、θ=π/2のときは、cosθ=0だから、
2次方程式はx²+r²=0
2次関数にすると、グラフのy切片は必ずr²になる。
<※極形式>
複素数は実部とx軸、虚部をy軸とすると、座標平面における。
座標平面にある点Z(x,y)はベクトルのように、原点Oと結ぶことができまる。
Zの位置は、OZの大きさをr、
OZとx軸の正の方向から反時計回りに測った角θで決まる。
z=r(cosθ+sinθ i)とかける。
(理由)
OZをrで割った長さORは1なので、Rは単位円周上にある。
だから、Rは(cosθ,sinθ)とかける。
ということは、OZはそれをr倍しているだけだから、(rcosθ, r sinθ)という座標になる。