21.微分方程式
★方向ベクトル群をばらまく
0.微分方程式をイメージ理解
微分方程式はy’やdy/dxやy’’やなどとx,yを使った方程式です。
導関数や微分係数、2階微分係数などの意味を思い出してみよう。
x,y平面上のある適当な点で関数に接線をひいたときの傾きが微分係数だった。
それがx,yの関数になっているとしたら、点の座標によって、傾きが決まってくるということだね。
傾きの変化が一定な微分方程式はたとえば、dy/dx=1だ。
これって、関数のどの点でも傾きが1ということだから、y=x+Cという直線が答えだね。
だから、微分方程式は、x−y平面上にある関数群(一般解)に対して、適当な点での
関数の方向ベクトルの規則性から、もとの関数群(一般解)を推理する問題だということだね。
特殊解はそのうちの特定の点を通る関数ということだし、
特異解は、関数の式の特徴から含まれる別種の解ということだ。
★ー2xy
★x(2y−1)
★−4x/y
★同次形
1.変数分離型と同次型
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
<変数分離型g(y)dy=f(x)dx>
左辺がyだけの式、右辺がxだけの式と左辺と右辺で変数が分けられている方程式を
変数分離形の微分方程式といいます。
微分方程式は微分形式の等式に適する関数が解となる方程式です。
変数分離形の場合、微分方程式は積分によって得られます。
∫ g(y)dy= ∫f(x)dx.(両辺とも不定積分)
(理由)
dy/dx=f(x)/g(y)
解をy=h(x)とすると、
dy/dx=h'(x)=f(x)/g(h(x))だから、f(x)=h'(x)g(h(x)) したがって、∫f(x)dx=∫h'(x)g(h(x))dx
右辺をh(x)=yで置換積分すると、dy= dy/dx dx= h'(x)dx より、∫ g(y)h'(x)dx= ∫g(y) dy。
だから、∫f(x)dx=∫g(y) dy
(例)
「dy/dx=-2xyの一般解と(x,y)=(0,1)を通る特殊解」は?
1/ydy=-2xdxと変数分離して、∫1/ydy=∫-2xdxの解が求める関数。
log|y|=-x2+C |y|=e(-x^2+C) だから、y=±e(-x^2+C)
一般解はy=De(-x^2)
(x,y)=(0,1)を入れてD=1となるから、特殊解はy=e(-x^2)
(例)
「dy/dx=x(2y-1)の一般解と(x,y)=(0,1)を通る特殊解」は?
1/(2y-1)dy=xdxと変数分離して、1/2∫2/(2y-1)dy=∫xdxの解が求める関数。
1/2log|2y-1|=1/2x2+C |2y-1|=e(x^2+2C) だから、y=±1/2e(x^2+2C) +1/2
一般解はy=De(x^2)+1/2
(x,y)=(0,1)を入れてD=1/2となるから、特殊解はy=(e(x^2)+1)/2
(例)
「dy/dx=-4x/yの一般解と(x,y)=(0,2)を通る特殊解」は?
ydy=-4xdxと変数分離して、∫ydy=∫-4xdxの解が求める関数。
1/2・y2=-2x2+C 一般解は(x/1)2+(y/2)2=C/2
(x,y)=(0,2)を入れてC=2となるから、特殊解は(x/1)2+(y/2)2=12の楕円。y=0除く
(例)
「dy/dx=(x−1)/(2y)の一般解と(x,y)=(1,1)を通る特殊解」は?
2ydy=(x-1)dxと変数分離して、2∫ydy=∫(x-1)dxの解が求める関数。
2・1/2・y2=1/2x2-x+C y2=1/2(x-1)2+C
((x-1)/√2)2-(y/1)2=-C
(x,y)=(1,1)を入れてC=1となるから、特殊解は((x-1)/√2)2-(y/1)2=-1の双曲線。
<同次型dy/dx=f(y/x)>
のような形を同次型といいます。
同次型の場合は変数yから変数uへの変換y=xuをすることで、変数分離形にできる。
さらに、f(m)=mとなる定数mがあれば、y=mxも解となる。
(理由)
y=xuとすると、u=y/xとなり、dy/dx=(xu)'=(x)'u+x(u)'=u+x・du/dx=f(u)とおける。
ここで、f(u)≠uならば、最後の等式を変形して、f(u)-u=du・x/dx (f(u)-u)/du=x/dx
(1/x) dx =1/(f(u)-u) du これで変数分離形になった。
両辺不定積分して、
∫(1/x) dx =∫ 1/(f(u)-u) du でxとuの関係式ができる。そこで、uをy/xに戻せば一般解になるね。
もしf(u)=uならdy/dx=u=y/xだから、変数分離形で、1/ydy=1/xdx ∫1/ydy= ∫1/xdx から、log|y|=log|x|+C
y=±eCxが一般解
y=mx型の解があるときは、m=y/x=uとなるので、uが定数となるため変数変換にならない。
dy/dx=f(m)=mを満たすmをy=mxに代入すればよい。
(例)
「(x2-y2)dy/dx=2xyの一般解」は?
dy/dx=2(y/x)/(1-(y/x)2)=(y/x)の式となるから同次式ですね。
u=y/xとおき、y=xuを代入する。2xy=2x2u, y2=x2u2
だから、dy/dx=u+x・du/dx=2xy/(x2-y2)=2x2u/(x2-x2u2)=2u/(1-u2)
つまり、yを消して,duとdxとxとuだけの式 u+x・du/dx=2u/(1-u2)ができる。
x/dx=(2u/(1-u2)-u)/du=((u+u3)/(1-u2))/du これから、1/x dx=((1-u2)/(u(1+u2))) duと変数分離ができた。
∫1/x dx=
以上からlog|u/(1+u2)| =log|x|+Cloge=logxeC
ここで、u=y/xを戻すと、 中心が(0,D/2),半径|D|/2の円が一般解。
また、y=mxとおくと、上記のdy/dx=2u/(1-u2)のuをmに置き換えて、2m/(1-m2)=f(m)=mとする。
2m=m(1-m2) m(1+m2)=0から、m=0。y=0x=0。y=0(x軸)も解(特異解)となる。
2.完全形と積分因子
<完全形p(x,y)dx+q(x,y)dy=0>
p(x,y)dx+q(x,y)dy=0の型が、
関数f(x,y)の全微分を使って、
df(x,y)=∂f/∂x・dx+∂f/∂y・dy=p(x,y)dx+q(x,y)dy=0と表せる関数fがあるとき完全型という。
完全形の解はf(x,y)=C(定数)を陰関数y=y(x)であり、
完全形であることと∂p/∂y=∂q/∂xは同値だ。
(理由)略
(例)
「(2x+2y+1)dx+(2x-2y ー1)dy=Oの一般解」は?
p=2x+2y+1, q=2x-2y-1とおくと、∂(2x+2y+1)/∂y=∂(2x-2y-1)/∂x=2だから、完全形。
∫(2x+2y+1) dx= x2+(2y+1)x+c(y) =x2+x+2xy+c(y) =f(x)
∫(2x-2y-1) dy= (2x-1)y-y2+d(x) = d(x) +2xy+y2 - y =f(x)
この2式を満たす一般解はf(x)=x2+x+2xy+y2 - y=C
<積分因子>
完全型でなくても、適当な式M(x,y)をかけて完全型になるときMを積分因子という。
「sinydx+cosydy=0に適当なMをかけて完全形にするためのM」は?
M=exとして、p=ex siny, q=ex cosyとおくと、∂(ex siny)/∂y=∂(ex cosy)/∂x=ex cosyだから、完全形。
∫(ex siny) dx=ex siny+c(y) =ex siny+c(y) =f(x)
∫(ex cosy) dy= ex siny+d(x)=ex siny+d(x) =f(x)
この2式を満たす一般解はf(x)=ex siny=C
3.線形微分方程式
<定数変化法>
定数変化法は同次方程式の一般解の定数を変数として変化させて、非同次方程式の解を求める方法。
たとえば、dy/dx-y=xはdy/dx=x+yとなり、y/xの式ではないので、同次ではないね。
そこでx=0としておきあとで復活させる。
・dy/dx=y。1/y dy=1 dxで変数分離すると、∫1/y dy=∫1 dxによって、log|y|=x+C
Cを定数とする一般解はy=Cex
・このCをxの関数として、c(x)とおき、もとの式に代入しよう。y=c(x)exとおく。
dy/dx-y=(c(x))'ex+c(x)(ex)'-c(x)(ex)'=(c(x))'ex=x。dc(x)/dx=x/ex=x・e-x 。c(x)=∫x・e-xdxで部分積分する。f,G=e-x,xとすると、F,g=-e-x,1 から、Fg=-e-xとなり積分はe-xだから、c(x)=x・(-e-x)-e-x+D。
つまり非同次の一般解はy=(x・(-e-x)-e-x+D)ex y=-x-1+Dex
<1階線形微分方程式>
上と同様にしてdy/dx-p(x)y=q(x)についても、いったんq(x)=0として、∫1/ydy=∫p(x)dx log|y|=P(x)+C
(∫p(x)dx =r(x)とする。)
Cを定数とする一般解がy=Cer(x) 。C=c(x)として、y=c(x)er(x)
dy/dx-p(x)y=(c'(x)er(x)+c(x)(er(x) )')-p(x)c(x)er(x)=q(x) r(x)'=p(x)によって相殺される部分がある。
c'(x)er(x)=q(x) だから、c(x)=∫ q(x)・e-r(x)dx+D。
つまり、y=er(x)(∫ q(x)・e-r(x)dx+D)=e∫p(x)dx(∫ q(x)・e-∫p(x)dxdx+D)
<2階線形微分方程式>
2階の微分方程式y"+by'+cy=0は、
固有方程式t2+bt+c=0の解がt=p,qのとき、一般解は固有方程式の解の種別によって3タイプある。
・p,qが異なる実数ならy=Aepx+Beqx
・p=qの重複実数ならy=(A x +B)epx
・複素数解p=a+bi, q=a-biなら、y=Aepx+Beqx=eax(C cosbx + D sinbx)
(例)
「y" -3y’+2y=Oの一般解」は?
固有方程式(t-1)(t-2)=0の解t=1,2から、y=Aex+Be2x
(例)
「y" +2y’+y=Oの一般解」は?
固有方程式(t+1)2=0の解t=-1から、y=(Ax+B)e-x
(例)
「y" -4y’+13y=Oの一般解」は?
固有方程式の解t=2±3iから、y=e2x(A cos3x + B sin3x)