ベクトルの積分
1。ベクトルの基礎
このワークシートはMath by Codeの一部です。
熱、気体、電気、磁気、いろんなものが
空中、空間にただよってます。
これからベクトル場について、深めていこう。
前回は、準備としてベクトルの微分をやった。
今回は、引き続き、準備としてベクトルの積分について考えてみよう。
<土台の知識>
・不定積分は微分の逆演算なので、定数が追加される。
・fの定積分は変数xの幅[a,b]を決め、幅の細分×関数の和Σf⊿xの極限細分のときの積和が∫fdx[a,b]
・ 積分はもともとはΣなので、和と定数倍が積分記号の外に出せる。線形性がある。
・ 積分は細分した合計という演算だから、曲線を細分した合計、つまり曲線の長さも求められる。
・ 細分曲線の2乗Δ2s=Δ2x+Δ2yの極限はd2s=d2x+d2yだから、
ds= これをxの積分区間[a,b]でSumできる。
・x,yがtの関数f(t),g(t)なら、 と変形できる。
・極座標(r;θ)のrがθの関数f(θ)なら、2点(f(θ);θ)、(f(θ+Δθ);θ+Δθ)の距離は、
動径Δrと回転rΔθを2辺とする斜辺ds=
<ベクトルの積分>
・ベクトル不定積分は微分の逆演算なので、定ベクトルが追加される。
・fの定積分は、不定積分をFとしたとき、integral(a to b) f dx =[ F(x)]a b= F(b) - F(a)
・ ベクトルを使うことで、空間の中を動く点の軌跡、つまり空間内の曲線の長さまで、
積分を使えば求められるはずだね。
<曲線の長さ>
曲線PQの長さsを求める。
Pの位置ベクトルr(a),Qの位置ベクトルr(b)とすると、a,bがパラメータuの下端、上端。
PQのn等分の和sn=Σsqrt(⊿x2+⊿y2+⊿z2)
=Σsqrt((⊿x/⊿u)2+(⊿y/⊿u)2+(⊿z/⊿u)2) ⊿u
(例)
空間の中のらせんの長さを求めよう。
θがパラメータで、r=acosθ i + a sinθ j +b θ k = rx i+ ry j +rz kとする。
(a cos θ)' = -a sinθ, (a sin θ)' = a cosθ,(b θ)' = bから、
c=sqrt(a2+b2) とおくと、
s=integral(sqrt((drx/dθ)2+(dry/dθ)2+(drz/dθ)2)、θ, 0, 2π)
=
2πの部分が変数θなら、s(θ)=cθとなるね。
らせんの長さ
<接平面と法線は外積から>
点Rの位置ベクトルrが2つのパラメータu,vで決まり、Rがxyz空間にあるとすると、
曲面の方程式はr=r(u,v)とかけた。
uを固定すればvによる曲線になるので、各点で偏微分すれば、接ベクトルruがある。
vを固定すればuによる曲線になるので、各点で偏微分すれば、接ベクトルrvがある。
ということは、2ベクトルの外積は大きさが曲面の接平面の面積で、向きが法線になるね。
つまり、法線単位ベクトルはn=ru×rv/|ru×rv|でえられるね。
曲面の面積Sは、この曲面全体で接平面からの面積要素dSを動かしたものの極限で、
S=∫dS=∫∫|ru×rv|dudvとなるね。
・実際の計算をするには、パラメータをx,yに変換すれば,
dS=|(i + zx j) ×(j+ zyk)|dxdy=|-zxi-zyj+k | dxdy=sqrt(1+(zx)2+(zy)2) dxdy (dxdyは正)から
S=∫dS=∫∫ の2重積分で求められるね。
(例)
放物面の面積を求めよう。
r=(u+v) i + (u-v) j + 2(u2+v2) k ( u2+v2≦1/2) つまり、x=u+v, y=u-v, z= 2(u2+v2)
ru=i +j +4u k , r v= i- j +4v k ,
c=ru×rv=(4v+4u)i+(4u-4v)j+(-1-1)k=2[ 2(u+v) i + 2(u-v) j+ (-1)k]=2 (2x i + 2y j -k )
|c| = 2sqrt(4x2+4y2+1)=2 sqrt(4(x2+y2)+1)
n=c/|c| = (2x i + 2y j -k )/sqrt(4(x2+y2)+1)
ここで変数変換しよう。
x=u+v, y=u-v , z= 2(u2+v2), u2+v2≦1/2 から、x2=u2+2uv+v2, y2=u2-2uv+v2
x2+ y2=2(u2+v2)=z z≦1/2*2=1。つまり、z=x2+ y2≦1。
S=∫dS=∫∫
さらに、重積分の変数変換しよう。x=rcosθ、y=rsinθ , 0≦r≦1、0≦θ≦2πとして、
ヤコビアンJ=|{xr,xθ},{yr,yθ}|=|{cosθ, -rsinθ},{ sinθ, rcosθ}|= r から、dxdy =J drdθ=r drdθだね。
S=
(途中でさらにe=r2, de= 2rdrと変換した)
放物面の法線ベクトル
(例)
らせん面の接平面と法線。
r=(u cosv) i + (u sin v) j + 4/π v k つまり、x=ucos v, y=usinv, z=4/π v
ru=cosv i +sinv j +0 k , r v= -u sinv i + ucosv j +4/π k ,
n=ru×rv=(4/π sinv)i+(-4/πcosv)j+(u)k
点R(x0,y0,z0)における平面の方程式は平面の任意の点をXとすると、
n・XR=0だから、
接平面の方程式はx(n)(x-x0)+y(n)(y-y0) +z(n)(z-z0)=0
点R(x0,y0,z0)における法線の方程式
(x-x0)/x(n)=(y-y0)/y(n)=(z-z0)/z(n)