18.積分と面積
交点を変えてみよう
1。面積は定積分で
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
y=f(x),y=g(x)のグラフが区間[a,b]で、fがg以上のとき
<2つのグラフにはさまれた面積>
S=Integral(f-g, a,b)で2直線x=a, x=bと2本のグラフに囲まれた領域の面積が求められる。
特に、
g(x)=0のときは、S=Integral(f-0,a,b)は関数fとx軸の間の領域。
f(x)=0のときは、S=Integral(0-g,a,b)はx軸と関数gの間の領域。
<2つのグラフの交点が積分区間の間にあるときの面積>
区間[a,b]の間のx=cでf(c)=g(c)交わるとき、aからcまでが面積+、cからbまでの面積がーとなる。
だから、cを境にfとgを上下反転させる。
S=Integral(f-g,a,b)=Integral(f-g,a,c)+Integral(g-f,c,b)。
積分計算は数値と文字の計算に没頭してしまいがちだ。
しかし、面積は図形の問題だ。
この例に限らず、面積は図形の問題なので、図形の持つ対称性や合同・相似などの特徴に
着目することで、効率よく面積を求める方針を立てて取り組みたい。
★サイクロイドの面積変化
★アステロイドの面積変化
2.パラメータと面積
パラメータ関数の微分のときに微分形式[differential form]を利用した。
(y)'=dy/dx=(dy/dt)/(dx/dt)のように。
だから、パラメータ関数の積分も微分形式を利用しよう。
∫ y dx=∫ y dx/dt・ dt=∫ y(t) (x(t))' dt。
つまり、関数(x, y)= (x(t), y(t))がパラメータtで定義されているとする。
関数xだけをtで微分してものと関数yの積をパラメータtの関数として積分すればよいということだ。
注意点は、xに対するyの関数としての積分区間[a,b]がパラメータtの積分区間へ読み替えが必要だということだ。
(例)
「半径aの円が作るサイクロイド(アーチ状の曲線)とx軸の囲む図形の面積」は?
ふくらみを直線化した三角形の面積は2πa,高さが2aから2πa2で、包む長方形は4πa2
だから、その真中をとって、3πa2くらいか?
パラメータθが円の接点の回転角。接点Pが(0,0)から(2πa,0)まで動くときの軌跡は
x=a(θ-sinθ), y=a(1-cosθ)(θは0以上2π以下)となる。
このときのS=integral(y, x, 0, 2πa)を求めればよいね。
(x(θ))'= dx/dθ=(aθ -a sinθ)'= a - a cosθ=a(1-cosθ) なので、
S(θ)=y(θ)(x(θ))' =a2(1-cosθ)2= a2(1-2cosθ+cos2θ) とする。
cos2θ=(1+cos2θ)/2で1次式にできるから。
S(θ)=1/2a2(2-4cosθ+1+cos2θ)=1/2a2(3-4cosθ+cos2θ) 。インテグラルは線形だからバラすと、
S=integral(S(θ), θ, 0, 2π)=1/2a2(integral(3, θ, 0, 2π)+integral(-4cosθ, θ, 0, 2π)+integral(cos2θ, θ, 0, 2π))。
カッコ内= だから、S=1/2a2・6π=3πa2
ということで、ころがる円の3倍の面積。
(例)
「半径aの大円の内部で半径が大円の4分の1の小円をすべらないようにころがすときの小円上の
点の軌跡アステロイド(星型)の面積」
x軸、y軸、原点すべて対称なので、とりあえず第1象限の範囲で求めて4倍しよう。
x2/3+y2/3=a2/3
大円に外接する正方形から大円をとった残りの面積に4a2-πa2=0.86a2くらいか?
x=acos3θ,y=asin3θ。第1象限部分の面積Sではθが0以上π/2以下
変数xの変域[0,a]に対して、パラメータθは[π/2,0]
(x(θ))'= dx/dθ=(acos3θ)'= 3acos2θ(-sinθ)なので、
S(θ)=y(θ)(x(θ))' =asin3θ・3acos2θ(-sinθ)= -3a2sin4θcos2θ= -3a2sin4θ(1-sin2θ) =3a2(sin6θ-sin4θ)
In=∫sinnxdxとすると、部分積分と置換積分から、
I2=π/4, I4=π/4・3/4=3/16π、I6=3/16π・5/6=15/96π。
これを4倍すると3/8×3.14×a2=1.1775a2。予想よりも広い。
3/8πa2=6×π(1/4a)2だから、小円の6個分。上半分だけなら、動く円の3倍の広さだね。
ということは、動く円を基準にすると、サイクロイドとアステロイドの半分は同じ面積になるね。
(例)
「2つの楕円P(x): (x/√3)2+y2=1 とQ(x): x2+(y/√3)2=1の共有部分の面積」は?
長軸が√3,短軸が1の楕円をxとyを入れ替えた2つの楕円の共有部分はx軸、y軸、y=xの3本の
線について対称だから、2×2×2=8等分した図形の8倍の面積。
2つの楕円の交点はy=xの交点でもある。(x/√3)2+x2=1 から、4/3x2=1。 x=±√3/2
だから、積分区間をx=[0,√3/2]にして、P(x)-xを積分すればよいね。
P(x)=√(1-x2/3) だから、S=8 integral(P(x)-x, 0,√3/2)
=8 integral(P(x), 0,√3/2)-8 integral(x, 0,√3/2)=AーB。
P(x)のパラメータ表示を x(t)=√3cost, y(t)=sint, (x(t))'=-√3sint とすれば、
∫ y dx=∫ y dx/dt・ dt=∫ sint (-√3sint) dt= -√3∫ sin2t dt=-√3/2∫(1-cos2t)dt。
Aの積分区間はx(t)=√3cost=0となるt=π/2から、
x(t)=√3cost=√3/2となるのcost=1/2でt=π/3まで。
B=8・1/2(√3/2)2 - 0=3。
A=
=4√3(π/2-π/3)+3
A-B=2/3・√3π
★カージオイドの面積変化
3.極形式と面積
<極形式の基本図形>
半径rで中心角Δθの弧長Δθだから、その面積ΔS=πr2・(Δθr/2πr)=1/2r2Δθだ。
底辺がΔθrで、高さがrの三角形の面積とみなすこともできるね。
Δθ→0のとき、このΔSの極限はdS=1/2r2dθになる。
Sをθの関数とすると、∫Sdθ=∫ 1/2r2dθ=1/2∫r2dθで、
極形式が囲む図形の面積を求めることができるはず。
たとえば、カージオイド[cardioid](ハート形): r=a(l +cosθ ) (a>O)
dr/dθ=-asinθだから、θが0からπまで変化するとき負だから、減少関数。
θ={0, π/4, π/2. 3/4π, π}に対して、r={2a, a(1+1/√2), a, a(1-1/√2), 0}と減少の一途だね。
p(x,y)=(r;θ)はr=a(l+cos(-θ))=a(1 +cosθ) なので、x軸対称。
θを0からπまで変化させて積分したら、2倍しよう。
S=
=
だから、カージオイドの面積は3/4πa2・2=3/2・πa2