質量欠損がエネルギー放出につながる
このワークシートはMath by Codeの一部です。
これまで、
光速が速さの上限であることから、光速に近い一定速度で動くと時間も長さも縮むということ
それが時空の座標変換からくるものだということ
この2点を学んだ。
光速に近い速さは、「動かしにくさ」を表す「質量」とも深くかかわる。
それを今回は学ぼう。
1.質量と光速
<光速が速さの上限ならば>
・重い物を動かすには力がいる。
質量が大きいものは動かしにくい。
止まっているものが動きだす瞬間は速さが0からvになる。これが加速だ。
一度vになれば、それをvのまま維持するのは楽だね。これは加速してない。
だから、「質量」が増えると「加速しにくさ」は比例して大きくなるね。
これはニュートンの運動方程式F=maを変形すると、
a=F/m
だから、加速は質量に反比例することがわかる。
・エネルギーを注入すると、加速できるロケットをイメージしよう。
エネルギーを注入していくと、速度が光速cに近づく。
しかし、いくらエネルギーを注入しても、速度の上限がある以上速度は増やせなくなる。
これからは、「エネルギー」が、「加速しにくさ」を増している。
光速に近いvで動く物体は加速しにくくなる。
「加速しにくさ」が増すと大きくなるものは「質量」だった。
ということは、「エネルギー」と「質量」が比例するということになるのではないか。
光速に限りなく近い速さで動く物体の質量は、限りなく無限大になる。
言い換えると、エネルギーと質量は等価であり、そこに比例定数があるだろう。
それを追求したアインシュタインが出した結論が
E=mc2だ。
2.質量減少のエネルギー
ドローンもAIもそうでしょうが、
何でも、使い方によっては、人類の味方にも敵にもなる。
E=mc2から計算される、質量の持つエネルギーは想像を絶するほど莫大だ。
1gの質量をすべてエネルギーに変換できるとどれだけになるだろうか?
単位をm,s,kgに統一します。
m=0.001(kg)
c=3* 108 (m/s)
E=1*10-3 (3*108)2=9*108*2-3=9*1013ジュール=90TJ(テラジュール)です。
広島に投下された原子爆弾のエネルギーは50から70TJといわれていますから、
質量1gを完璧にエネルギーに変換できると、原子爆弾を上回るパワーがあるということです。
逆に、物体のエネルギーが1J増えたら、質量はどれだけ増えるかというと、
1/90gということで、日常生活には無関係かもね。
<核分裂のエネルギー>
ウラン235の原子核に中性子をぶつけると、
核が分裂してバリウムとクリプトン、プルトニウムなどの原子核に分かれるのですが、質量が減ります。
この質量欠損が熱エネルギーと中性子の放出につながるのです。
この分裂反応で出た中性子が残ったウランの原子核にぶつかるので、
この反応はチェーン(連鎖反応)を起こします。
・このチェーンを
制御しないと連鎖反応が急速に急激に増加し原子力爆弾に使えて、
制御することで原子力発電に利用されるのですね。
実際には、天然ではウランはウラン238が大半でその中に1%を切るウラン235があります。この濃度を100%に近づけることで、原子爆弾に使われます。
原子力発電ではウラン235の濃度を4%くらいまでに高めて
連鎖反応を一定の割合で維持します。これが臨界という状態ですね。
<核融合のエネルギー>
重水素(1p1n)と3重水素(2p1n)の原子核がくっついてヘリウム(2p2n)と中性子(p)ができる。
このときに質量欠損がおき、熱エネルギーに置き換わる。
これがあの太陽の中で起きていることだね。
質量は速度で変わる。
3.質量にかかわる量の相対化
光速に近く動く慣性系でも物理法則は成り立つ。
ニュートン力学でも成り立った運動量保存の法則が慣性系でも成り立つとすると、
長さ、時間だけではなく、運動量、質量も時空に相対的に決まる。
その結果として、光速に近く動くと質量が増加して、E=mc2が成り立つことになるね。
それを順に見ていこう。
<運動量の保存と質量の相対化>
a= ≧1 1/a=b= ≦1 とするとき、
系Sから系S’へのローレンツ変換Rは
T' =(T-v/c2X)/b
X’ =(X- vT)/b
・静止系Sに対して速度vで動く物体と慣性系S'がある。物体の静止質量がm0としよう。
この物体が静止系S上の距離Lを進むのにかかる時間Δtは、
S系から物体付属の時計で測定するとL/v のb倍になるから、Δt=b L/v
物体付属の時計を観察した時間での物体の速さv'=L/Δt=L/(b/v L)=v/b
だから、物体付属時計での運動量はp'=m0v'となるね。
p'=m0v'=m0v /b
だから、相対論的に質量をm=m0/b=とおくと、p'=mvとなる。
mv=m0v'だから、運動量が相対論的に保存できた。
(例)
静止系Sに対して速度v=24(万㎞/s)で動く車と慣性系S'がある。車の静止質量がm0としよう。
この物体が静止系S上の距離L=40(万km)を進むのにかかる時間Δtは、
S系から見た車の時計で測定すると40/24=5/3 のb=1/√(1-(24/30)2)=3/5倍になるから、Δt=3/5 *5/3=1
車の時計を観察した時間での物体の速さv'=40/1=24/(3/5)=v *5/3
だから、物体付属時計での運動量はp'=m0v'=m0 40。
p'=m0v'=m0 v /(3/5)
だから、相対論的に質量をm=m0/(3/5)=m0*5/3とおくと、p'=mvとなる。
mv=m0v'だから、運動量が相対論的に保存できた。
