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三角形にまつわる長さの最小値

このページはマス旅の一部です。 今回は「三角形にまつわる長さの最小値」をさぐってみよう。

1.ウォーミングアップ

物理では、「最小・最短」というのはとても大切なことだ。 たとえば、光は最短距離を進む。 図形でも最短・最小は大きなテーマになる。 1「2点を結ぶ最短距離と言えば、直線」というのはだれでも知っている。 2「点から線への最短距離は、垂線だ」ということも常識だ。 この2つを「直線定理」と名付けてあげよう! また、高校数学では、 点(x0,y0)から法線ベクトルがn=(a,b)の直線ax+by+c=0への垂線の長さが|ax0+by0+c|/|n|というのも有名だ。 <パズル1> 「牛を川そばのA地点から出発して川で水をのませて、別のB地点に移動する経路がどうなるか?」 川岸を直線lとする。 水を飲むポイントをl上の点Cとする。 そうすると、このパズルはACBという折れ線の長さ、L=AC+CBを最小にするポイントCの決め方の問題になる。 そこで、Bをlについて線対称移動(鏡映)した点をB'とする。 今後、この鏡映は何回も使うだろうから、B'のような点を「点Bのl影」と呼ぶことにしよう。 大切なことは「線対称移動(鏡映)は合同変換である」こと。 Cを適当にとっても、いつもCB=CB'だから、L=AC+CB’となるね。 だから、「直線定理」1番から折れ線ACB'を直線AB'にしたときにLが最小になる。 あとは、AB'とlの交点が求める水の飲みポイントCと決定できるね。 大切なことはもう一つある。 光は牛より速いけど、この牛の進行経路は光と同じだ。 直線lへの「入射角と反射角が等しい」ということだ。 鏡映なのだから、2直線の交点が対頂角で等しいから、当たり前だけど、 結果を知っていると、いちいち作図しなくても、「最短の証明」になるから便利なのだ。 <パズル2> 「1辺が2の正方形がある。この正方形の対角線の交点を中心にして、正方形を回転するとき、 正方形の4辺が通過する領域の面積は?」 正方形をABCDとして、対角線の交点をOとする。対角線の長さは2√2になるので、 OA=2√2/2=√2。だから、Aの軌跡は半径OAの円周になる。 正方形の通らない部分がOの周りにできるね。 この領域を広げていくと、限界がある。辺ABの中点Mだ。 この点Mは点Oから辺ABへの垂線の足になるね。 今後、この作図は何回も使うだろうから、Mのような点を「点OのAB足」と呼ぶことにしよう。 お気づきのように、これは「直線定理」2番を使っていることになる。OM=1だ。 だから、正方形ABCDの辺の通過領域の面積はπ(√2)^2-π1^2=πとなるね。 <パズル3> 「正三角形ABCの内部に点Pをとり、Pから各辺に下した垂線の長さの合計Lを最小にする点はどこか? 答えは三角形の内部ならば、Lは一定なので、どこでもよい。 理由は簡単。正三角形の1辺を2として、Pから各辺に下した垂線3本の長さをa,b,cとすると、 正三角形の面積は△PAB,△PBC,△PCAの3つの三角形の面積の合計になるので、 2a/2+2b/2+2c/2=a+b+c=2*√3/2=√3となる。点Pがつまり、L=√3で、一定になるから。 これを、「ヴィヴィビアー二の定理」という。

2.垂足三角形で周長最小化

<内接三角形の周長最小の極小化> 「鋭角三角形ABCの辺BC,CA,AB上に点P,Q,Rをとり、 内部に作られる△PQRの周長L=PQ + QR + RPを最小にするには、 点 P, Q, Rをどこにとればよいでしょうか?」 「シュワルツ教授の考え」 ベルリン大学のシュワルツ教授は「垂線と入射角=反射角と鏡映」から考えた。 シュワルツさんは三角形ABCのA,B,Cから対辺への足をP,Q,Rとした内接三角形PQRを 「垂足三角形」と名付けた。 「垂足三角形でLが最小になること」を証明しました。 「証明」 3点P,Q,Rは垂線の足で、垂心をHとすると、三角形ABCを四角形ARHQ,BPHR,CQHPに分けられるね。 それぞれに外接する円がかけて、HA,HB,HCが3つの円の直径になっている。 大切なのは「同じ弧に対する円周角が等しいこと」だ。 角ARQ=角AHQ(直径HAの円)、角BHP=角BRP(直径BHの円)。 Hで角AHQと角BHPは対頂角になっているから等しい。 つまり、角ARQ=角BRPだ。 これって、辺ABに対して折れ線QRPが、「入射角=反射角」になるから最短経路になっているのことだ。 点Rの位置は垂線の足でしかなかったのに、最短の折り返し点と判明したのだね。 同様にして、点P,点Qもそれが言える。 今、3垂線から「入射角=反射角」が言えた。 さらに、厳密には鏡映作図の6連発をすればよい。 三角形ABCを辺BC,CA,AB,BC,CA,ABで順に鏡映するのです。 2回裏返すと表向きに戻り、向きが回転するだけ。 初めの2回鏡映で頂点Cは動かず、点Cに角Cの2個分並ぶだけなので、角Cの2倍回転となる。 同じようにして、次の2回鏡映で角Bの2倍回転、最後の2回鏡映で角Aの2倍回転となる。 この6回回転で、角Cの2倍+角Bの2倍+角Aの2倍=(3つの角の合計)の2倍=180×2=360度回転。 だから、ABへの足Rが6回鏡映後のRまで入射角と反射角が等しいことから、直線になる。 適当な内接三角形では、折れ線になってしまうことがわかる。 <学生フェイエールさんの考え> ハンガリーの数学者フェイエールさんが学生のときに考えた方法が秀逸だ。 (裏返して直線化で最短) フェイエールさんは1頂点Pを固定して考えた。 辺 BC上に点 Pを固定してみよう。そして、点Pを鏡映で裏返す。 点PのAB影をP_1、AC影をP_2とおこう。 鏡像の性質より、RP = RP_1、PQ = PP_2だから、 L= RP + PQ + QR = P_1R + RQ + QP_2 これは 点 P_1 から点 R, Qを経由して点P_2に至る折れ線の長さそのものだ! 直線定理1から、この折れ線が最短になるのは、P_1, R, Q, P_2が一直線上に並ぶときだね。 (垂線で最短) さらに、直線 P_1P_2の長さをさらに短くしたいと考えたのだ。 さあ、どうする? 鏡映は合同変換であることを思い出そう。 P_1, R, Q, P_2が一直線に並んだとき、二等辺三角形AP_1P_2に注目すると、AP_1 = AP = AP_2であり、 頂角P_1AP_2 = 2角A(一定)となる。 頂角一定の二等辺三角形とは、テントのテッペンの開き方が決まっているようなものだ。 テントを広くするにはテントの高さ、斜辺を長くするしかない。 つまり、底辺P_1P_2の長さを最小にするには、斜辺に等しい線分APの長さを最小にすればよいことになる。 直線定理2から、点Aから辺BCに下ろした線分APが最小になるのは。Aの辺BC足をPとすればよいね。 (まとめ) 点 P, Q, Rがそれぞれ頂点 A, B, Cから対辺への足(垂足)になるとき、周長は最小となることは シュワルツさんのやり方では、決定できた。 しかし、フェイエールさんのやり方ではどうだろうか。 今は点Pを先に決めた。だったら、点 Q, Rを先に決めることもできるだろう。 Pを決めた結果のQ,Rと、Qを決めた結果のP,Rと、Rを決めた結果のP,Q。 この3つの三角形が実は1つになるということは、ここまでの記述では何もわからない。 これではフェイエールさんのやり方は決定打にならない気になりますね。 結局、3垂線を引かなければならないとしたら、シュワルツさんの勝ちになる。 そうではありません。 フェイエールさんの作図「1垂線と2回鏡映」で、P,Q,Rが決定されるのです。 「証明」 三角形ABCのAから辺BC足をPとする。PのAB裏をP_1,AC裏をP_2とする。 線分P‗1P_2とAB,ACとの交点をそれぞれ、R,Qとする。このときの内接三角形PQRが周囲最小となる。 なぜなら、鏡映であることから、三角形AP_1P_2は斜辺がAPに等しい二等辺三角形なので底角が等しい。 角AP_1R=角AP_2Q、鏡映であることから、角AP_1R=角APR、角AP_2Q=角APQ。 以上から、角APR=角APQ=xとする。、Pは垂線の足だから、角APB=角APCなので、残りの角BPR=角CPQ、これをx度とする。つまり、「入射角=反射角」になっている。 次に、角APBが直角だから、鏡映の角PP_1Bも直角で、ABを直径とする四角形APBP_1の外接円がある。 同様にして、ACを直径とする四角形APCP_2の外接円がある。 円周角と鏡映に着目すると、 角BP_1P=角BAP=角BAP_1=角BPP_1=y度とする。 これから、△AP_1Bで、外角ARQ=x+y=角P_1RB。鏡映から、角P_1RB=角BRP。 したがって、角ARQ=角BRP。ここでも「入射角=反射角」となる。 同様にして、点Qについても「入射角=反射角」となるので、 垂線を1本しか引いてないのに、3垂線の効果があるということだ。 シュワルツさんの鏡映が6回に対して、フェイエールさんの鏡映は2回です。 シュワルツさんの垂線が3本に対して、フェイエールさんの垂線は1本です。 べつに競争する必要はないですが、いかにエレガントかという話しです。

シュワルツの垂足三角形で、△PQRの周は最小化

フェイエールの垂足三角形で、△PQRの周長の最小化

2.距離和の最小化の点(フェルマー点)

<トリチェリの問題> 「最大角が120度未満の三角形ABCの内部に点Pをとり、 3頂点からの距離の和L=AP + BP + CPを最小にする点P(フェルマー点) はどこにある?」 フランスの数学者フェルマーがデカルトやトリチェリに尋ねたという有名な問題ですが、 次は、トリチェリさんがみつけたという証明です。 「証明1」 三角形ABCの内部に点Pをとり、PA,PB,PCを結びます。 三角形APCをAを中心に60度反時計回りに回転してできる三角形AP'C'をかき、PP',CC'を結ぶ。 三角形APP'は回転角60度をはさむ2辺が等しいので正三角形です。AP=PP' 回転は合同変換なので、もちろん△APC≡△AP'C'だから、PC=P'C'。 だから、L=AP+BP+CP=BP+PP'+P'C' 最後の式は折れ線BPP'C'の長さですね。 直線定理1から、Lの最小値は線分BC'です。 では、どんなときに直線になるのでしょうか。 折れ線BPP'C'がPでまっすぐなので、角BPA+60=180となり、角BPA=120度です。 折れ線BPP'C'がP'でまっすぐなので、60+角AP'C'=60+角APC=180となり、角APC=120度です。 残った、角BPCはもちろん120度です。 「証明2」 三角形ABCの内部に角APB=角BPC=角CPA=120度となる点Pをとります。 また、三角形ABCの内部に適当な点Qをとります。 三角形ABCに外接する正三角形で、A,B,CがPから3辺への垂線の足になるような三角形KLMを作ります。 360-90-90-120=60だから、角K,M,Kがすべて60度になる正三角形KLMがただ一つあります。 KLMからすると、A,B,Cが決まってしまえば、点Pは1つに決まります。 さて、QからLM,MK,KLへの足をA'、B',C'としましょう。 「ヴィヴィアー二の定理」からPからの3垂線の長さの和とQからの3垂線の長さの和は等しいので、 三角形KLMの中がPでもQでも同じことです。 つまり、 AP+BP+CP=A'Q+B'Q+C'Q 垂線は足までが最短なのでQA'≦QA、QB'≦QB,QC'≦QCとなるね。 これから、AP+BP+CP=A'Q+B'Q+C'Q≦AQ+BQ+CQ つまり、適当にとったQからの和よりも、Pからの和が最小。 「証明3」 三角形ABCのそれぞれの辺を1辺とする正三角形ABD,BCE,CAFをかきます。 AEとCDの交点をPにしよう。 同じ弧に対する円周角は等しいので、角BPE=角CPE=角DPA=角DPB=60度です。 すると、角BPC=角BPA=120度なので、角APCも120度となり、フェルマー点です。 この証明のよいところは、フェルマー点の作図までできることです。 また、120度だけでなく、周長が最小であることもわかります。 円に内接する四角形BPCEで「トレミーの定理」を使うと、 PB×EC+BE×CP=BC×PEです。 三角形BCEは正三角形だから、EC=BE=BCですね。 だから、これを約すことで、PB+CP=PDとなります。 だから、L=AP+BP+CP=AP+PD≧AD =になるのは、折れ線APDが直線のときです。 そのとき、角APB=角APC=180-60=120です。 トレミーの定理のおかげで、円が1個で十分だということもわかりました。 さらに、Lの長さがADになることもわかります。 課題:geogebraで三角形ABCの点を動かしてもフェルマー点が決定できるように作図しよう。 タイトルは「連動するフェルマー点」 図形で選び三角形ABCを適当にかきます。 正多角形の作図のアイコンで、2点C,Bを選び点数3を入れることで、正三角形BCEをかきます。 同じように、のこりの2つの正三角形をかきます。 この2つの三角形は主役ではないので、segmentは点線で三角形も塗なしにしましょう。 SE,CDの交点をPとします。BFもPを通りますね。 円のコマンドで3点選択のものを選び、B,P,Cを指定します。 三角形BCEだけ青にします。 線分を追加します。 BP,CP,PEです。色を赤にして太くします。 ”3点A,B,Cを動かすと\\フェルマー点が追従します。" とテキストを貼り付けます。

フェルマー点