重複する領域・平面を合併して解析接続しよう
このワークシートはMath by Codeの一部です。
現代の人が突然PCもAIも使えないところに
放りだされたらどうなるでしょう。
ほぼすべてが止まるでしょう。
生活もこまるでしょうが、数学者・物理学者・データ関係者もこまるでしょう。
暗算、筆算、そろばんで計算をやりますか。
でも近代ではまだ、PCもAIもなかった。
だから、分析、解析の道具は微分積分だったわけです。
話が長くなりましたね。
近代の最先端の道具である微分積分が使える相手が解析的な関数だとしたら、どこまでも使える範囲を延長したいですよね。
解析できる範囲をひろげる、つなぐが今回のテーマです。
複素指数関数の特徴を確認しよう
1.logzを1対1対応にするリーマン面
logzを1対1対応のまま広げる「リーマン面」の誕生
複素関数の1例として、
指数関数・対数関数を扱ったときのことを思いだすところから始めよう。
<指数関数>
指数関数f(z)=ez:z=x+iy → w=u+iv
w=e^(x+i y)=e^x e^(i y) =e^x (cosy+i siny)となり、
|e^(i y)|=1から、r=|w|は|e^x|で決まり、arg w はyできまる。 y=θ。
Im軸に平行な直線でyを-πからπに点zを動かすと、
点wは半径rの円周上を1周してRe軸の負の部分にもどる。
Re軸に平行な直線でxを-1から1に点zを動かすと、
点wは原点近くから比例の直線上を進む。
<対数関数>
そこで、wからzに逆対応させてみる。
対数関数f(z)=logzがあるならば、fは
g(w)=e^w: w=u+iv → z=x+iy の逆対応となるね。
r=|z|, θ=argzとおくと、z=e^(u+i v)=e^u e^(i v) だから、
|e^(i v)|=1から、r=|z|は|e^u|で決まり、arg z はvできまる。v=θ
u=Logr (Log はzのサイズである実数|z|の自然対数とする)
直線Re w=αでvを-πからπに点wを動かすと、
点zは半径rの円周上を1周してRe軸の負の部分にもどる。
直線Im w= βでuを-1から1に点wを動かすと、
点zは原点近くから比例の直線上を進む。
<範囲を限って危機を脱出する>
前半を逆対応で言い換えるとまずいことになる。
円周を1周してもとにもどったら、たて線上を2πiだけ上に移動してしまう。
つまり、Rezの負の部分の対応値が2通りあるのだ。
そこで、仕方なく、実軸の負の部分をz平面から取り去って定義域として、対数関数を定義する。
これが1対1にするための技たったね。
これで、複素平面に禁断領域を決めることで1対1対応が確保できて、
さらに微分・積分が可能となる。logzは
d(logz)/dz=1/(logz/dz)=1/e^w=1/zと微分できるので、その原始関数はlogzに戻る。
<範囲を生かして指数関数も対数関数も丸ごと生かす多重世界、それがリーマン面>
しかし、これでは、本来の多対1の指数関数全体の正しい逆関数ではない。
そこで、複素平面から原点を含むRe軸の負の部分をとった残りをC*としてみる。
g(w)=e^w: w=u+iv → z=x+iy の写像で、
Sk={(2k-1)π<Imw<(2k+1)π}が移る先をD=C*={C-{0}∪{z:argz=π}} とする。
さらに、1対1の加算個のペアに名前をつける。
kを動かしたとき、....S-2,S-1,S0,S1,S2,......の移る先を...D-2, D-1,D0,D1,D2,.....としよう。
Sk同士は短冊のように上下で切れてる。
Dも平面全体のうち原点から実軸の負の線が切れている。
これらの断片の集合の縫合してく。
Sk群は断線部分をSkの上端の天井(2k+1)πとSk+1の下端の床(2(k+1)-1)πでつなぐ、
Dk群は実軸の左端のDkのargzがπに達する終わりの半直線(天井)と
Dk+1のargzが-πから始まりの半直線(床)をつなぐ。
そうすることで、Skの連続体としての複素平面から
C*を無限加算個らせん階段上に重ねた多重平面(リーマン面という)への
1対1の写像ができるね。
これが解析接続の1例だ。
解析接続というオペによって、
微分も積分もできる正則領域を連続的に広げることができたね。
2。そもそも解析接続って何だっけ?
いきなり具体から入りましたが、
そもそも解析接続って何だっけ?
正則関数の定義域を正則を破壊せずに拡大することが解析接続だ。
基本を押させておこう。
複素平面の領域の部分に 共有部分DDのある2領域D1,D2があるとしよう。
それぞれの領域では、それぞのの正則関数がある。
つまり、
D1ではf1が正則で、
D2ではf2が正則で、D1とD2の重なり領域DDではf1=f2とする。
ここで、D1とD2の合併領域Dでの関数をfとし、
fの定義を領域依存にしてD1ではf1、D2ではf2としておく。
ここで、「一致の定理」を思い出そう。
D1とD2の共通領域DDではfが正則で、f=f1=f2になっている。
DDをDに広げてもfが正則である。
f1とf2はよりひろいfに解析接続された、解析的延長ができたということができる。
つまり、
解析接続によって、正則関数f(z)のべき級数展開の収束円を徐々にずらすことで、正則域を広げることができる。
f(z)のべき級数P(z)=Σa_nz^nの収束円Cが原点中心だとしよう。
C内の点aをとるとf(z)はaにおいてP(z-a)に展開されて、C内の内接円CCaでは収束するけれども、
収束円Caはそれより大きいかもしれないね。f(x)はCとCaの合併領域K1に解析的延長ができる。
さらに、K1の中でCの外にある点bをとれば、f(z)をbにおいてP(z-b)に展開すると収束円CbはK1をはみ出るかもしれない。そこで、K1とCbの合併領域K2に接続される。
つまり、局所的に点をずらしながら、収束円を重ねながら解析関数をテーラー展開を続けることで、
ずるずると局所的な解析接続を連続するウロコ状、屋根瓦のような連結ができるということだね。
しかし、これは展開する点をスライドすることに連動して収束円を都度都度変えることに注意しよう。
1つのK1,K2,...をすべて含む収束円があるというわけでは全然ないのだ。
3.ガンマ関数を解析接続しよう。
ガンマ関数を解析接続しよう。
<ガンマ関数>
ガンマ関数と言えば、ベッセルの微分方程式という難問を解くために
必要だったから、前に調べたことがあったね。
そのときは、
ガンマ関数は階乗関数を整数から実数に拡張した。
正の実数xについて、Γ(x)=∫t^(x-1)e^(-t) dt[0,∞]と定義したね。
その結果わかることは以下の通り。
・x=1のときΓ(1)=∫t^(1-1)e^(-t) dt=∫e^(-t) dt=[-e-t][0,∞]=0-(-1)=1
・部分積分∫Fg=FG-∫fGで、F=tx,g=e^(-t) とするとき、gを積分するとG=-e^(-t)、Fを微分するf=xt^(x-1)
x=x+1のときΓ(x+1)=∫t^xe^(-t) dt=[-t^xe^(-t) ][0,∞]-∫-xt^(x-1)e^(-t)dt = x∫t^(x-1)e^(-t)dt=xΓ(x)
xが正の実数のとき、Γ(x+1)=xΓ(x)言い換えると、Γ(x)=(x-1)Γ(x-1)
・とくに、xが整数のときも成り立つから、
Γ(2)=1Γ(1),
Γ(3)=2Γ(2),....。
つまり、nが正の整数のとき、Γ(n)=(n-1)!(階乗関数)
・極座標変換x=rcosθ,y=rsinθをして、2重積分で挟み撃ちをして、Γ(1/2)=2・1/2√π=√πを求めた。
詳しい計算はこちら。
まとめると、次のようにガンマ関数の値が出せた。
Γ(2.5)=1.5Γ(1.5)=1.5・0.5Γ(0.5)=3/4√π。
xa=[1,2,3,4,5]のときya=[1,1,2,6,24]
xb=[0.5 , 1.5, 2.5, 3.5, 4.5, 5.5 ] のときyb=√π [1, 1/2, 3/4,15/8, 105/16, 1155/32 ]
課題:上で計算した関数の値がガンマ関数のグラフにのっかることを視覚化してみよう。
xa={1,2,3,4,5}
start=0.5
xb=Sequence(start+k,k,0.5) #リストxbを作る。
PI=squart(pi)
f(k,a)=(k+1)a
ya=IterationList(f,{0,1},4) #ya=[1,1,2,6,24]
ybb={1,1/2,3/4,15/8,105/16,1155/32}
yb=ybb PI #リストyb
Zip((A,B),A,xa,B,ya) #2つのリストxa,ybから要素A,Bを順に取り出して点のリストを作る。
Zip((A,B),A,xb,B,yb) #同様にして点のリストを作る
g(x)=Γ(x) #geogebraの標準関数としてのガンマ関数のグラフ
ガンマ関数をみると、xが正のときはまだおとなしい曲線です。
しかし、xが負では、爆発しまくってますね。まるでtanxのグラフみたく。
ガンマ関数は右半はおとなしく、左半では爆発しまくる。
<爆発部分に突入する>
複素数s=σ+i tについて、Γ(s)=∫ x^(s-1)e^(-x) dx[0,∞]とおこう。Re(s)=σ>0、つまり右半平面の積分路Cで∫CΓ(s)=∫C x^(s-1)dx∫Ce^(-x) dx=0*∫Ce^(-x) dx=0となる。だからΓ(s)はsを複素数に拡張してもσ>0では正則となるね。また、Γ(s+1)=sΓ(s)という関係も成り立つので、これを使って正則の範囲を拡張しよう。
Γ(s)=Γ(s+1)/sが利用できる。
点sのΓ関数の値Γ(s)は、1つ右にシフトした点(s+1)での値Γ(s+1)から計算できる。
領域D0(σ>0)ではΓ(s)は原点s=0以外で正則となるね。
領域D-1(σ>-1)では右辺Γ(s+1)/sは点s+1の実部σ+1は正で、原点s=0以外では正則であり、実部σ>0の範囲ではΓ(s)と一致する。
領域D-1に解析接続されたΓ(s)は原点s=0以外では正則で、原点に近づくs→0のとき、Γ(s+1)→Γ(1)=1となるから、原点s=0はΓ(s)の一次の極で主要部は1/s。
次に領域D-2(σ>-2)でも同様に解析接続していけるが、そのつど、特異点ができる。
これを続ければ、解析接続により、全複素平面にわたって、ウロコのようにうねうねと
正則関数としてつないでいけるね。
もちろん、特異点s=0,-1,-2,-3....
とできるけれども、これらはあくまでも複素平面における孤立した点だ。
解析接続のためのバトンリレーの式が
大爆発のリレーの式にもなっている。
そこで地雷をふめば爆発して、無限大になるけれども、
その間は正の領域と同様に微分積分が可能である。
たとえば、実関数でx=0.5に対して、y=√π=1.77だった。
だから、Γ(-0.5)=Γ(0.5)/(-0.5)=√π/-0.5=-2√π=-3.54..
Γ(-1.5)=Γ(-0.5)/(-1.5)=-2√π/(-1.5)=4/3√π=2.36...
Γ(-2.5)=Γ(-1.5)/(-2.5)=4/3√π/(-2.5)=-8/15√π=-0.944...
課題:geogebraでxが負のときのガンマ関数の値もプロットしてみよう。
上でつくったアプレットに追加してみよう。
nega=0.5
xc=Sequence(nega-k,k,-0.5) #リストxc={-0.5,-1.5,-2.5,-3.5,-4.5,-5.5}
h(k,a)=-2/(2k+1) *a #これで、-1.5,-2.5,...で割っていける。
yc=IterationList(h,{1,-2PI},5) #yc=[-3.544.., 2.3633..., -0.9453 ,..]
Zip((A,B),A,xc,B,yc) #これで、xが負のときのガンマ関数をプロットできるね。
実数という一本道を邪魔する点をさけるために、実数の綱渡りではなく、
平面にして、火山を避けながら同じ正則関数の乗り物にのって進める。
解析接続は次元上げによる安全運転というイメージだね。