16.置換積分
xを置き換えるか、xの式を置き換えるか?
★cosmx,sinmxの置換積分が使えるようにしよう。
1.合成微分から積分へ
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
<合成微分から置換積分へ>
小文字が導関数とすると、∫(f)=F, ∫(g)=G。
x=G(t)のとき、F(G(t))=F(x)だから、
合成関数の微分を微分形式で表すと、dF/dt=dF/dG・dG/dtだから、{F(x)}′=F'(x)g(t)
両方の辺を積分して、F(x)+C=∫f(x)g(t)dt。
左辺は∫f(x)dxだから、∫f(x)dx=∫f(G(t))g(t)dt
次の3ステップでやってみよう。
(手順1)fの一部分に着目して積分変数xをx=G(t)と表す。導関数g(t)を求める。
(手順2)x==>G(t)、dx==>g(t)dt と置換して積分する。
(手順3)tの関数をtで積分したあと、tをxの関数にもどす。
この手順は、微分形式で表すこともできる。
・x=G(t)とすると、dx/dt=G(t)/dt=G'(t)=g(t)から、
∫f(x) dx=∫f(x)dx/dt dt=∫f(G(t)) g(t)dt
以上が積分変数をxからtに変換する場合。
(例)
「不定積分」は?
積分対象f(x)=x/√(x−1)のうち、根号√(x−1)=tとおくと、x-1=t2。
だから、x=G(t)==>t2+1, dx=dx/dt dt==>2t dt に置換する。
∫f(x)dx=∫ (t2+1)/ t・2t dt=2∫(t2+1) dt
べき関数になったのでパワールールと線形分解で積分計算ができる。
=2(1/3t3+1)=2/3(t3+t)=>2/3((x-1)3/2+(x-1)1/2)+C
最後に、tにxの式に戻すのを忘れない。
(例)
「不定積分」は?
積分対象f(x)=cos(mx)のうち、mx=tとおく。
だから、x=G(t)==>1/m・t, dx=dx/dt dt==>1/m dt に置換する。
∫f(x)dx=∫ cos(t) 1/m dt=1/m sin(t)=1/m sin(mx) +C
だから、∫cos(mx)dx=1/m sin(mx)+C
同様にして∫sin(mx)dx=-1/m cos(mx)+C
・逆に積分変数をtからxに変換するのも置換積分という。(逆型)
しかし、もとの変数はxになっているので、xとtに逆に読み替える必要があるね。
dt/dx =g(x)/dtとなるt=G(x)で変換することで、積分公式が使える式f(t)を作る。
∫f(G(x)) g(x)dx=∫f(t) dt/dx dx=∫f(t) dt
(例)
「不定積分」は?
と変形。G(x)=x/a=t , g(x)=1/aとみると。
f(t)= =1/√(1-t2) と単純化できて、この積分がsin-1tになる。
1/a dxの部分は、g(x) dx=dt/dx dx=dt と置き換えられる。
・(fn+1(x))'=(n+1)・fn(x)・f'。
これを積分に置き換えると、∫fn(x)f' dx=1/(n+1)・fn+1(x) +C
(例)
「不定積分∫sin3xcosx dx」は?
cosx=(sinx)'と読めるから、1/4sin4x+C
(例)
「不定積分∫logx・1/x dx」は?
1/x=(logx)'と読めるから、1/2(logx)2+C
2.無理関数を置換する
<根号をtとおき、xをtの式G(t)にする>
(例)
「不定積分」は?
根号部分√(x+1)=tとおくと、t2=x+1。
だから、x=G(t)=t2-1, dx=dx/dt dt==>2tdt に置換。
∫f(x)dx=∫f(t2-1)2tdt=∫(t2-1)t・2t)dt=2∫(t4-t2) dt
=2(1/5t5-1/3t3)=2(1/5t5-1/3t3)=>2/5(x+1)5/2-2/3(x+1)3/2+C
(例)
「不定積分」は?
根号部分√(x2+1)=tとおくと、t2=x2+1。
だから、x=G(t)=√(t2-1), dx=dx/dt dt==>t/√(t2-1)dt に置換。
∫f(x)dx=∫√(t2-1) t ・t/√(t2-1)dt=∫t2dt
=1/3t3 ==>1/3(x2+1)3/2+C
(例)
「不定積分」は?
根号部分√(x+1)=tとおくと、t2=x+1。
だから、x=G(t)=t2-1, dx=dx/dt dt=g(t)==>2tdt に置換。
∫f(x)dx=∫f(t2-1)2tdt=∫(t2-1+2)t・2t)dt=2∫(t4+t2) dt
=2(1/5t5+1/3t3)=2(1/5t5+1/3t3)=>2/5(x+1)5/2+2/3(x+1)3/2+C
3.三角関数と分数関数
<sinx=t、cosxdx==>dtの置き換え>
三角関数は逆型で、単純化する。
(例)
「不定積分」は?
G(x)=sin(x)=t、d(G(x))/dx dx=cos(x) dx=dtの置き換え。
∫(sinx)2cos(x)dx=∫t2dt=1/3t3=>1/3sin3x+C
(例)
「不定積分」は?
1/cosx=cosx/cos2x=(cosx/(1−sin2x)と変形しておく。
G(x)=sin(x)=t、d(G(x))/dx dx=cos(x) dx=dtの置き換え。f(t)=1/(1-t2)
∫cos(x)/(1-sin2x)dx=∫1/(1-sin2x)・cos(x)dx=∫1/(1-t2)dt
==
<x/a=t, 1/a dx⇒dtの置き換え>
分数関数で分母にx2があるときは逆型で、単純化する。
(例)
「不定積分」は?
x/a=G(x)=t、dt/dx dx=1/a dx=dtの置き換え。
=1/a(tan-1t)+C=1/a(tan-1x/a)+C
(例)
「不定積分」は?
x/a=G(x)=t、dt/dx dx=1/a dx=dtの置き換え。
=
(別解)
始めから部分分数に分解して積分してもよいね。
=
4.置換積分と定積分
定積分でも置換積分を使ってみよう。
(例)
「定積分」は?
xの式(1-x)=tとすると、x=1-t、dx=dx/dt dt=-1dt xが[0,1], tが[1,0]の定義域。
(例)
「定積分」は?
変数x=a sin(t)とすると、dx=dx/dt dt= a cos(t) dt。xが[0,a]tが[0,π/2]の定義域。
(四分円の面積)
(例)
「定積分の値」は?
cos2x、sin2xは倍角・半角の公式でcos2xを使った式1/2(1±cos2x)になおすとよい。
(xが[0,π/2],2xが[0,π] cos(2x)は1→0→-1と変化するから、置換積分値P=0だから)
(例)
「定積分の値」は?
3x+x=4x, 3x-x=2xから、sin(3x+x)+sin(3x-x)=2sin3xcosx 。∫ sin(mx) dx=ー1/m cos(mx)+Cも使って、
=-1/8(-1-1+0-2)=1/2