ベクトル場
1。スカラー場の勾配
このワークシートはMath by Codeの一部です。
熱、気体、電気、磁気、いろんなものが
空中、空間にただよってます。
これからベクトル場について、深めていこう。
<スカラー場とベクトル場>
領域D(平面や空間内)の点Pに対して
対応する量がスカラーならDをスカラー場、ベクトルならDをベクトル場という。
(例)
2変数u, vが0以上2π以下を動く領域をDとしよう。
Dの点Pに対して、f(u,v)=u+vなら、Dはスカラー場。
Dの点Pに対して、f(u,v)=(u+v, u-v, uv)なら、Dはベクトル場。
<ベクトル場と流線>
Dがベクトル場で、D内の点Pのベクトルf(P)がPで曲線C:p(t)=(x(t),y(t),z(t))に接するときに、
曲線CをD内の流線という。
f(P)=(f(x,y,z),g(x,y,z),h(x,y,z))がCの方向ベクトルに一致するから、d(t)/dt=kf(P)
(例)
ベクトル場D内の点Pのベクトルf(P)=(-y,x) の点P0=(1,0)を通る流線を求める。
(dx/dt, dy/dt)=k(-y,x)から、dy/dx=x/(-y)という微分方程式ができた。
変数分離して、∫y dy= ∫-x dxから、1/2y2=-1/2x2+c
これから、x2+y2=Cが一般解。特殊解が、12+02=Cから、x2+y2=1となる。これが流線だね。
<スカラー場の等位曲線>
Dがスカラー場で、Dの点P(x,y)の山の高さf(x,y)をf(P)とかく。
点P0と同じ高さf(P)=f(P0)になる点Pのあつまりを、P0を含む等高線、等位曲線という。
(例)
スカラー場D内の点Pのスカラーがf(P)=(2x2-3y2-1)/(x2+y2)のとき、
点P0(1,1),P1(1,0),P2(0,1)の等位曲線を求める。
P0:f(P)=(2x2-3y2-1)/(x2+y2)=(2-3-1)/(1+1)=-1 から、(2x2-3y2-1)=-(x2+y2) 。3x2-2y2=1(双曲線)
P1:f(P)=(2x2-3y2-1)/(x2+y2)=(2-1)/(1)=1 から、(2x2-3y2-1)=(x2+y2) 。x2-4y2=1(双曲線)
P2:f(P)=(2x2-3y2-1)/(x2+y2)=(-3-1)/(1)=-4 から、(2x2-3y2-1)=-4(x2+y2) 。6x2+y2=1(楕円)
<スカラー場のgradは傾斜成分をならべたベクトル量>
Dがスカラー場で、Dの点P(x,y)の山の高さf(P)のとき、
xを固定したときの山の断面でのy方向の勾配が∂f/∂x
yを固定したときの山の断面でのx方向の勾配が∂f/∂y。
fの (∂f/∂x, ∂f/∂y)をfの勾配grad ベクトルといいます。
スカラーを成分ごとに偏微分してならべただけなので、ベクトルになったものです。
・この勾配ベクトルは、関数への作用、演算子とみることもできます。
grad f とかき、ハミルトニアンfと読んだり、∇fのように書いてナブラfと読んだりもするね。
・∇の計算法則はどうなる?
ベクトルなので線形だから、和と定数倍は成り立つね。
積・商の∇は積・商の微分公式と同様になる。
∇(fg)=(∇f)g+f(∇g)
∇(f/g)=[(∇f)g-f(∇g)]/g2
・f(P)で決まるスカラー場DのP0における等位曲線Cがある。
P0の接線ベクトル(dx/dt, dy/dt)と∇fの内積=0だから、直交する。
∇f・(dx/dt, dy/dt)=
つまり、曲線の∇fは法線ベクトル。n=∇f/|∇f| ( 法線単位ベクトル)
(例)
Dがスカラー場で、点P(x,y)の山の高さz(P)=x2+y2のとき、x、yがーπから+πまで変化するときの
勾配∇zを求め、接平面を求める。
2次元領域Dの点Pからzを入れた3次元領域Eの点R(x,y,z)でのスカラー関数f(R)=x2+y2-zを作る。
∇f=(∂f/∂x,∂f/∂y,∂f/∂z)=(2x, 2y,-1) これを単位化せずにそのまま法線ベクトルnとして使う。
点R とz(p)上の点X(x,y,z) ベクトルXRとnの内積(x-x(R)) x(n)+(y-y(R))y(n)+(z-z(R))z(n)=0 が平面の方程式になる。たとえば、点P(1,1)なら、点R(1,1,2)で、勾配n=(2,2,-1)なので
接平面の方程式は2(x-1)+2(y-1)-1(z-2)=0 つまり、2x+2y-z=2
(例)
3次元のスカラー場Dの点P(x,y,z)の電位をV(P)=1/4πε*1/√(x2+y2+z2)とする。
原点の電位Vは無限大で、原点からの距離r=√(x2+y2+z2)が大きくなるほど電位Vは小さくなるね。
-grad Vが電場ベクトル。
grad V=1/4πε*(-1/2)*2(x,y,z)/(x2+y2+z2)3/2=-1/[4πε*(x2+y2+z2)3/2] (x,y,z)
原点近くで傾斜が負の無限大に近く、原点からの距離rが大きくなるほど傾斜は負のまま0に近づく。
放物面の勾配からの接平面
Pを通る等位曲線
2.ベクトル場の発散と回転
ベクトル場には
divという吹き出し、発散と、
rot,curlという渦があります。それを見ていこう。
<ベクトル場の発散divはスカラー量>
ベクトル値関数f(P)=(f、g、h)で決まるベクトル場Dで
div f = ∇・f(形式的な内積)としよう。
f,g,hはどれも(x,y,z)の関数だから、偏微分できる。
∇=(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)と (f, g, h)の形式的内積は ∂f/∂x +∂g/∂y+∂h/∂zです。
・(吹きだし、発散divのイメージ)
ベクトル場Dの関数f(P)が熱の出入りだとしよう。
場の微小部分の直方体⊿x⊿y⊿zを熱量がf(P)=(f、g、h)で出入りするとしよう。
x軸方向の⊿y⊿z面での出入りは、f(x,y,z)入り、f(x+⊿x、y、z)出る。
熱の出入り差は[f(x+⊿x、y、z)-f(x、y、z)]⊿y⊿z≒∂f/∂x⊿x⊿y⊿z
同様にして、y軸方向、z軸方向の熱の出入りの差の総和は[∂f/∂x +∂g/∂y+∂h/∂z]⊿x⊿y⊿z
この熱変化量を体積⊿x⊿y⊿zで割れば、
単位体積当たりの熱変化量が∂f/∂x +∂g/∂y+∂h/∂zとなる。
これがdiv f 発散、吹き出し、分岐(divergence)の名前の由来と言われていますね。
・(ガウスの定理)発散の積分について定理、ところてんの定理?
微小体積の熱変化量[∂f/∂x +∂g/∂y+∂h/∂z]⊿x⊿y⊿z=div f を集めると、有限体積Vの熱変化量の
総和が出せるね。
微小立体が固まっている状態では、隣接面での熱の出入りは相殺される。
だから、集めたあとの全体の立体の表面だけで熱の出入りを求めることができるはずだね。
また、積分が線形であることと、面分ベクトルdS=(dSx,dSy,dSz)=(dydz, dxdz,dxdy)から、
∫v div f dv=
∫∫∫vdiv f dxdydz=∫∫∂v(∫∂f/∂x dx)dydz+∫∫∂v(∫∂g/∂y dy)dxdz+∫∫∂v(∫∂h/∂z dz)dxdy
=∫∫∂v fdydz+∫∫∂vg dxdz+∫∫∂vh dxdy=∫∫∂v f dSx+∫∫∂vg dSy+∫∫∂vhdSz=∫∫∂v (f dSx+g dSy+hdSz)
=∫∫∂v(f dSx+g dSy+hdSz)=∫∫∂v f ・dS
つまり、
∫v div f dv=∫∫∂v f ・dS (ガウスの発散定理)
内部の詳細な熱の出入りを相殺して、表面の熱の出入りを計算しても同じになることが数式でもわかる。
(例)
ベクトル場Dの関数f(P)=(2x2z,-xy2z,3yz3)
div f = (∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)・(2x2z,-xy2z,3yz3)=4zx+(-2xyz)+9yz2
(例)
3次元のスカラー場Dの点P(x,y,z)の電位をV(P)=1/4πε*1/√(x2+y2+z2)とする。
原点の電位Vは無限大で、原点からの距離r=√(x2+y2+z2)が大きくなるほど電位Vは小さくなるね。
grad V=1/4πε*(-1/2)*2(x,y,z)/(x2+y2+z2)3/2=-1/[4πε*(x2+y2+z2)3/2] (x,y,z) から、
電場E=-gradV=q (x2+y2+z2)3/2] (x,y,z) とおけるね。
div E = ∇・E=(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z) ・q [(x2+y2+z2)-3/2] (x,y,z) R=(x2+y2+z2)おく
=q(R-3/2-3/2x*2x R-5/2+R-3/2-3/2y*2y R-5/2+R-3/2-3/2z*z R-5/2)=3q(R-3/2-R*R-5/2) = 0
原点以外では電場は0です。限界なく流れているために出入りが相殺されるからですね。
<ベクトル場の回転rotはベクトル量>
ベクトル値関数f(P)=(f、g、h)で決まるベクトル場Dで
rot f = ∇×f(形式的な外積)としよう。
f,g,hはどれも(x,y,z)の関数だから、偏微分できる。
∇=(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)と (f, g, h)の形式的外積は
( |{∂/∂y,∂/∂z},{g,h}| , -|{∂/∂x ,∂/∂z},{f,h}| , |{∂/∂x ,∂/∂y},{f,g}| )
= ( ∂h/∂y-∂g/∂z , ∂f/∂z-∂h/∂x , ∂g/∂x-∂f/∂y )
・(うずrot,curlのイメージ)
ベクトル場Dの関数f(P)が量の分布
外積が力のモーメント、運動量のモーメントを求めるものだったことを思い出そう。
x軸方向には、fのy、z成分と、y方向、z方向の微小変化のベクトルとの外積のスカラー量になる。
だから、x軸方向の値はyz平面での変化のモーメントが入るね。
だから、x軸に交差するモーメントがないと0になり、
ねじる動き、うずまく動きがあると0でなくなる。
これを3軸ごと求めて並べたものがrot、 rotationだ。
・(ストークスの定理)うず、回転の積分の定理、メロンパンの定理?
微小領域dSでのうず、回転である∇×f ・dSを集めると、有限曲面の領域S全体の合計がでる。
ガウスの発散の積分と同様に隣接する微小面どうしのうずは打ち消しあうので、領域Sの境界線∂Sの
線素ベクトルdrを求めてよい。 ∫∫S (rot f)・ dS= ∫∫S (∇×f) ・dS=∫∂s f ・dr ストークスの定理。
(例)
ベクトル場Dの関数f(P)=(xz3,-2x2yz, 2yz4)
div f =(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)・(xz3,-2x2yz, 2yz4)=z3-2x2z+8yz3
rot f =(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)×(xz3,-2x2yz, 2yz4)=(2z4+2x2y, 3xz2 -0, -4xyz -0)=(2z4+2x2y, 3xz2, -4xyz)
(例)
3次元のスカラー場Dの点P(x,y,z)の電位をV(P)=1/4πε*1/√(x2+y2+z2)とする。
原点の電位Vは無限大で、原点からの距離r=√(x2+y2+z2)が大きくなるほど電位Vは小さくなるね。
grad V=1/4πε*(-1/2)*2(x,y,z)/(x2+y2+z2)3/2=-1/[4πε*(x2+y2+z2)3/2] (x,y,z) から、
電場E=-gradV=q (x2+y2+z2)3/2] (x,y,z) とおけるね。
rot E = ∇×E=(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z) ×q [(x2+y2+z2)-3/2] (x,y,z)
=-3/2q[(x2+y2+z2)-5/2](z*2y-y*2z, x*2z-z*2x, y*2x-x*2y)=0