バーゼル問題の先へすすもう
このワークシートはMath by Codeの一部です。
1.部分分数分解
点aだけポツンと正則をじゃましている点を孤立特異点というけれど、
テーラー展開での次数を負に拡張した、いわゆるローラン展開
f(z)=Σ-∞∞ bn(z-a)^n
において、孤立特異点aを分類できるね。
nが負の部分をあつめて項を主要部というけれど、
・主要部がないときはaは除去できる。
もしf(a)が不正則になるなら、それを変えて取り除ける。全体の対する影響はない。
(例)
f(z) = sin z/zという関数は、 z=0で分母がゼロになるのでそのままでは不連続(不正則)です。
でも、分子をマクローリン展開して zで割ると、マイナス次の項は出ず1 - z2/6 + .... となります。
この式に z=0を代入すると 1になりますね。
・主要部はあるけれどnが有限のkならaはk次の極だ。
z→aのとき経路にかかわらず、|f(z)|→∞。爆発する。
・主要部があり、nが無限項ならaは真性の特異点だ。
f(z)=e1/zのz=0がこれです。爆発するかどうかも不明なカオス的な世界ですね。
z→aのとき極限もなくf(z)→∞ですらない。ワイアストラスの定理から、aに収束する数列{zn}をうまくとれば、f(zn)→∞にもなり、任意のcに対してf(zn)→cになる。
真性孤立特異点がない複素関数に「有理型(meromorphic)」とラベルを貼る。
だから、有理型関数は正則関数か極をもつことになる。
<一致の定理>
f,gを複素平面 の領域D における有理型関数とする .
D 内に集積点をもっ集合A において f(z) = g(z)ならば,D上で f(z) = g(z) である.
つまり、複素平面上のどんなに小さなエリアでも完全に一致しているなら
全域で全く同じ関数でなければならない。
<偏角の定理>
複素平面の領域D内の有理型関数fについて、
D内にある単閉Cの中の領域でのfの零点数をN,極数をPとし、
C上には極も零点がないなら、
N-P=1/2πi∫_C f'(z)/f(z)dz
これは偏角というより、巻き数の定理と言えるでしょう。
被積分関数のf'(z)/f(z)dz は、実はlog(f(z))の微分そのものです。
これをCに沿って一周積分するということは、zがCを一周する間に、
写された先の f(z)がw平面の原点のまわりを「何周ぐるぐる巻きしてるか」を数えています。
零点(吸い込み)で正に、極(湧き出し)が逆向きに回るので、
巻き数=N-Pになるという巻き数の定理なのです。
<部分分数展開>
有理型関数fは、その任意の極aのまわりにローラン展開ができる。
これをPol[a,f]とかくことしよう。
有理型関数のカンタンなタイプとして有理関数があるね。
fを有理関数としその相異なるN個の極をa1,...,aN とすると、zの多項式 P(z)が存在し、
f(z) = P(z) + Σ Pol(an,f)
が成り立つ
さらにN個の極の位数がすべて1で極anの主要部Prince(an,f)=γn/(z-an)で、
fがz=0で正則なら、区分的に連続な微分可能な単閉Cnについて、
fはCnで正則であり、
f(z)=f(0)+Σγn(1/(z-an)+1/an)
と有理関数fを和分解できる。
(例)cotz=1/z+2zΣn=1∞(1/(z2-(nπ)2))
なぜ分解できるのでしょうか。
f(x)=cotz-1/zとおき、マクローリン展開すると、
f(x)=cotz-1/z=cosz/sinz-1/z=(zcosz-sinz)/z sinz=(-1/3z^3+....)/z sinz = (-z/3+...)/(sinz/z)
sinz/zは正関数(全域で正則)なので、f(0)=0とすることで、z=0でもf(z)は正則となる。
z→0のとき、分母のsinz/zは1に向かうので、分母の爆発が防げるわけですね。
z=nπ(nが整数Nに属する)で1次の極を持ち、留数はすべてγn=1
上の和分解の定理を使うと、
f(z)=cotz-1/z=f(0)+Σ1(1/(z-nπ)+1/nπ)+Σ1(1/(z-(-nπ))+1/(-nπ))
=Σ1(1/(z-nπ)+1/(z+nπ))=Σ({(z+nπ)+(z-nπ)}/{(z-nπ)(z+nπ)})
=Σ(2z/(z^2-n^2π^2))
これより、cotz=1/z+2zΣ(1/(z^2-(nπ)^2))
2.cotzの部分分数分解の利用
cotzの部分分数分解を利用してみよう
cotz=1/z+2zΣn=1∞(1/(z2-(nπ)2))
ここで、zにπzを代入すると、
cotπz=1/πz+2πzΣn=1∞(1/((πz)2-(nπ)2))=1/πz+2z/πΣn=1∞(1/(z2-n2))
だから、zcotπz=z/πz+2zz/πΣn=1∞(1/(z2-n2))=1/π+2z^2/πΣn=1∞(1/(z2-n2))
(zcotπz-1/π)/(2z^2/π)=(zcotπz-1/π)*(π/2z^2)=π/2z cotπz-1/2z^2=1/2z*(πcotπz-1/z)=Σn=1∞(1/(z2-n2))
そこで、f(z)=1/2z*(π cotπz-1/z)と定義すると、f(z)=Σn=1∞(1/(z2-n2))と分解できることになるね。
cosz, sinzのマクローリン展開を使い、f(z)を原点z=0の近くで展開してみよう。
cosz=1-z^2/2!+z^4/4!-z^6/6!...
sinz=z-z^3/3!+z^5/5!-z^7/7!....
途中から、πz=Pとおくと、P^2/z^2=π^2
f(z)=1/2z{πz(cosπz)/z (sinπz)-sinπz/(z sinπz)}
=1/2z^2{(P cosP- sinP)/sinP}
=1/2z^2 {[-(1/2!-1/3!)P^3+(1/4!-1/5!)P^5-(1/6!-1/7!)P^7+....]/[P-P^3/3!+P^5/5!-P^7/7!.....]}
=P^3/(2Pz^2) {[-(1/2!-1/3!)+(1/4!-1/5!)P^2-(1/6!-1/7!)P^4+....]/[1-P^2/3!+P^4/5!-P^6/7!.....]}
=P^2/(2z^2) {[-(1/2!-1/3!)+(1/4!-1/5!)P^2-(1/6!-1/7!)P^4+....]/[1-P^2/3!+P^4/5!-P^6/7!.....]}
=P^2/(2z^2) {[(-1/2!+1/3!)+(1/4!-1/5!)P^2+O(P^4)]/[1-P^2/3!+O(P^4)]}
=π^2/2 {[(-1/2!+1/3!)+(1/4!-1/5!)P^2+O(P^4)]*[1+P^2/3!+O(P^4)]} 後半は等比数列の和の公式から
=π^2/2 {[(-1/3)+(1/30)P^2+O(P^4)]*[1+P^2/6+O(P^4)]}
=π^2/2{-1/3+(1/30-1/3*6) P^2+O(P^4)}
=-π^2/6-π^4/90 z^2+O(z^4)
一方で、f(z)=Σn=1∞(1/(z2-n2))をz=0の近くで項別に微分すると、
f(0)=Σn=1∞(1/(-n2))=-Σn=1∞(1/n2)
f''(0)=-2Σn=1∞(1/n4))
上式と係数比較してみよう。
Σn=1∞(1/n2)=π2/6
Σn=1∞(1/n4)=π4/90
課題:ゼータ(2),ゼータ(4)がπ^2/6,π^4/90に近づくようすを視覚化しよう。
設定:表示する小数点以下の桁数を10にしましょう。
nをアニメーションにして増加にすると、どんどんゴールに近づくのがわかりますね。
n = slider(1,20,1)
Z2= sum(1/k^2,k,1,n)
Z4= sum(1/k^4,k,1,n)
G2=pi^2/6
G4=pi^4/90
dif2=G2-Z2
dif4=G4-Z4
ゼータ2のゴール値 \frac{π^2}{6}=G2\\に対して、差=dif2\\ゼータ4のゴール値 \frac{π^4}{90}=G4\\に対して、差=dif4