量子力学を使ってみよう
このワークシートはMath by Codeの一部です。
前回は複素数のつぶ波(波動関数)を解とする
シュレディンガー方程式(波動の偏微分方程式)を作り、
その特徴をしらべました。不確定性原理を導くことができたね。
今回は、シュレーディンガー方程式を作り、つぶ波という解をさぐろう。
1.井戸型の定在波
粒子(つぶ波、波動関数)φ(x)が井戸の中に閉じ込められている。
「井戸」というのはたとえです。
線分上にだけ波が可能で、線分の両端には無限に高い壁があり超えることが不可能です。
これを井戸に閉じ込められた粒子というイメージです。
つぶ波の「定在波」のエネルギーEnを計算して、視覚化してみよう。
位置は一次元でxが長さLに粒子が閉じ込められている。
ポテンシャルエネルギーU(x)はこの範囲で0だ。
ハミルトニアン演算子は^H=- ∂2/∂x2
シュレーディンガー方程式は^Hφ=Eφ
井戸の外にはつぶ波はないし、波動関数はゼロだから、φ(0)=φ(L)=0
φn(x) = Asin(nπ/L *x) n=1,2,3,.....(井戸の中)、A=sqrt(2/L)
=0(井戸の外)とすると、
^Hφ(x)=- {-(nπ/L)^2} ψ(x)となり、
固有値はEn=- {-(nπ/L)^2}= (n=1,2,3,....)
課題:井戸の中のつぶ波ψ(x) とエネルギーEn を視覚化してみよう。
カンタンのために、L=slider(1,10), m=slider(0.001, 0.1, 0.001),h=1,A=sqrt(2/L)、
エネルギー準位E(p)=(p h)^2/8 m L^2 として、
つぶ波の式はn=1,2,3,4,5に対して、Curve(u, A sin (n pi u/L) + E(n), u, 0, a)となるように、nを代入して
5つの曲線式を入れます。
+E(n)があることで、エネルギーの高さごとにつぶ波の式がかぶらないように表示できますね。
また、y=E(n)を点線でかくと、エネルギーの高さがはっきりわかります。
n=1,2,3,4,5に対して、En=Curve(u, E(n),u,0,a)とパラメータ曲線にすると、
つぶ波の式と同様に区間の中だけの点線にできます。
また、井戸の外は、不等式x<0、x>a, y<0によって、着色するとここに波がないことが強調できます。
まるで、ギターを奏でたときの弦の振動のようになるね。
En∝n^2/m L^2なので2乗差は奇数なので、エネルギーの段差はどんどん奇数列に比例して開く。
また、井戸を広げて、Lをふやすと、aの2乗に反比例して沈む。
逆に井戸をせまくすると、エネルギー準位が全体として上がっていく。
粒子が軽くなる、mを小さくしてもエネルギーレベルが上がり離散的になるね。
これらの固有値E1からE5に対応するφ(x)は独立の状態だから、基底として使うことで、
井戸の中のつぶ波を、これらの基底の線形結合で表せるはずだね。
井戸の中の粒子としてのつぶ波の基底を視覚化する
2.定在波の時間発展をみる
さっき、作った井戸型のつぶ波
φn(x) = A sin(nπ/L *x) n=1,2,3,.....(井戸の中)、A=sqrt(2/L)
En=
は空間型だった。
時間に依存する部分を捨てていた。
時間発展する部分g(t)=exp[ーE t)]
φn(x)=A sin(nπ/a *x)とg(t)=exp[ーEn t)]の積、fgを求めて実部と虚部にわけて
時間発展を考えよう。
オイラー等式(exp(iθ)=cosθ+isinθ)を使う。
g(t)=exp(i k) k=-n^2 h/8mL^2 t
ψn(x,t)=fn(x)g(t)=A sin(nπ/a *x) exp(i k)
=A sin(nπ/a *x) cos k +i A sin(nπ/a *x) sin k
Re(ψ)=A sin(nπ/a *x) cos k
Im(ψ)=A sin(nπ/a *x) sin k
実部も虚部も定在波の各部をcos倍かsin倍している。
課題:井戸型のつぶ波の時間発展の視覚化をするにはどうしますか。
カンタンのために、変動したいものはスライダーで設定しよう。
L=slider(0.1,10), m=slider(0,0.1), h=1,A==sqrt(2/L),n=slider(1,5,1), t=slider(0,10,0.01)
関数を設定する。
E(p)=(p h)^2/8 m L^2
f(p)=A sin(n pi p/L)
k(p)= -E(p)*h/2pi
として、
gc(t)=cos(k(n) t)
gs(t)=sin(k(n) t)とすれば、
波の実部と虚部は
Rep(x,t)=f(x) gc(t)
Imp(x,t)=f(x) gs(t) となるから、
実部だけの平面的な表示 Curve(s, f(s) gc(t) , s, 0,L)
実部と虚部を合わせた立体表示 Curve(u, f(u) gc(t), f(u) gs(t), u,0,L)
これをそれぞれ表示窓を作ればいいね。
数式の窓はオブジェクトごとに並べて、スライダーだけ表示させることで、
スライダーだけのグラフィックス窓をなくせるね。
アプレットをみると、実部だけでは定在波が、弦の振動に見えているけれど、
複素数の波として表示することで、波の回転運動としてみることができるね。
回転としてみたときの各部分の半径は一定で、
虚部も入れることで、存在確率=実部^2+虚部^2は各部分で一定になり、
とても安定した波だとわかるね。
井戸を広げたり、質量を大きくするとエネルギー が下がり、回転が遅くなります。
逆に井戸をせまく、粒子をかるくすると、回転が速くなりますね。
また、エネルギー準位をあげると、波の個性(基底)が変わります。
井戸の中の粒子の波の時間変化
3.波のつぶ(波束)をつくろう。
つぶ波、つまり、量子は、
空間を伝わるときは波として伝わり、観測すると粒子として現れるというものだ。
つぶ波を複数動かして、波のつぶを作りたい。
<波の干渉>
波は重なると、単純なたし算になる。
これが波の重ね合わせだった。
・同じ波長の2つの波が同じ方向に1次元に進むと干渉がおきた。
上下逆転して重なれば波は消えるし、山どうしが重なれば2倍の高さの波になる。
打ち消しあいと増大がおきる。
これは、ヤングの2重スリットのアプリでも確認した。
・波長がちがう2つの波が重なると、大きな波長の山の途中に小さな波長のうねりがうまれる、
そこに細かなこぶしをまわしたような音ができるでしょう。周期があってないところがほどんどんだが、
もちろん山と山が重なったり、山と谷が重なったりするところもあるだろうから、複雑化する。
同じ方向に進む波長が少しずつずれた波を重ねると、波のお団子ができる。
これが波束だ。
・弦の振動では、0点が両端にくるために左右に進む波が重なりあって、一定の場所に節ができる。
これが定在波だ。波長が違う定在波を重ねても波束ができる。もちろん、定在波の波束は動かない。
波束とは、異なるエネルギーE(=異なる回転速度)を持つ複数の基底 ϕn を足し合わせたものです。
Ψ(x,t)=∑ cnϕn(x)e−iEnt/ℏ=Σcn fn(x,t)
なぜこれが「粒」に見えるのか?
fn(x,t)=ϕn(x)e−iEnt/ℏ
これは、井戸の中の量子数nの定在波です。
これをナントカ倍(cn)した総和、線形結合がΨ(x,t)です。
ナントカ倍cnをガウス関数を適当につかうと、より、中ほどに集中した波のつぶが見えます。
課題:波束をgeogebraで表示するにはどうしたらよいですか。
さっきまで作ったアプリとどうように変数を導入します。
ただし、nをパラメータとして、グローバル変数化するのではなく、
関数の引数nnとしておきます。
nのままで関数を作ろうとして、すでにnはスライダーで定義されているので、
衝突するからnnにします。
E(nn)=(((nn h)^(2))/(8)) m L^(2)
k(nn)=-E(nn)*((h)/(2 π))
c(nn)=ℯ^(-(nn-10)^(2))
gs(nn,t)=sin(k(nn) t)
gc(nn,t)=cos(k(nn) t)
f(nn,p)=A sin(nn π*((p)/(L)))
関数を定義し終わったら、スライダーnを削除します。
これでようやく、波束ができます。
そのnnにn=8から12を入れてSumすることで、波の結合ができますね。
WavePacket(x)=Sum(c(n) f(n,x) gc(n,t),n,8,12)
これが波束です。