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球面にあるつぶ波

このワークシートはMath by Codeの一部です。 これまで、1次元のつぶ波を学んできた。 今回は3次元のつぶ波、具体的には球対称な井戸型ポテンシャルを学ぼう。 3次元の座標系はデカルト座標と球面座標があるね。 球面座標は動径r、xy平面角φ、z角θの3変数でとらえることができるけれど、 ポテンシャルエネルギーが球対称ならば、パラメータで方程式が分解できそうだね。

1.極座標での方程式

ハミルトン演算子をHとすると、 1次元のシュレーディンガー方程式(固有方程式、微分方程式)は   。 つぶ波ψ(x、t)について、^H=-2/∂x2+V(x、t) つぶ波ψ(r、t)について、^H=-2+V(r、t)(rは位置ベクトル、∇²はラプラシアン) だから、3次元空間のつぶ波ψ(x,y,z,t)について、^H=- (∂2/∂x2+∂2/∂y2+∂2/∂z2)+V(x,y,z) 球対称な場では、ポテンシャルエネルギーはV(r)とおける。 つぶ波ψ(r,θ,φ,t)については、^H=-2+V(r)(rは動径、∇²はラプラシアン) となるでしょう。 x=rsinθcosφ、y=rsinθcosφ、z=rcosθ、r=sqrt(x2+y2+z2)と変数を置き換えると、 ∂ψ/∂x=∂r/∂x・∂ψ/∂r+∂θ/∂x・∂ψ/∂θ+∂φ/∂x・∂ψ/∂φ ∂ψ/∂y=∂r/∂y・∂ψ/∂r+∂θ/∂y・∂ψ/∂θ+∂φ/∂y・∂ψ/∂φ ∂ψ/∂z=∂r/∂z・∂ψ/∂r+∂θ/∂z・∂ψ/∂θ+∂φ/∂z・∂ψ/∂φ ∂2ψ/∂x2=[∂r/∂x・∂/∂r+∂θ/∂x・∂/∂θ+∂φ/∂x・∂/∂φ](∂ψ/∂x) ∂2ψ/∂y2=[∂r/∂y・∂/∂r+∂θ/∂y・∂/∂θ+∂φ/∂y・∂/∂φ](∂ψ/∂y) ∂2ψ/∂z2=[∂r/∂z・∂/∂r+∂θ/∂z・∂/∂θ+∂φ/∂z・∂/∂φ](∂ψ/∂z) と6本の式ができるね。 3×3=9個の偏微分がわかれば、ラプラシアンの変数変換ができるはずだ。 9個の偏微分結果は、 (∂r/∂x、∂θ/∂x、∂φ/∂x)=(sinθcosφ、cosθcosφ/r, -sinθ/rsinθ) (∂r/∂y、∂θ/∂y、∂φ/∂y)=(sinθsinφ、cosθsinφ/r , cosθ/rsinθ) (∂r/∂z、∂θ/∂y、∂φ/∂z)=(scosφ、 -sinφ/r, 0) これらを先の6本の式に代入整理すると、 ∂2/∂x2=∂2/∂r2+2∂/r∂r=1/r (∂2/∂r2)r ∂2/∂y2=1/r2[1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ))] , ∂2/∂z2=1/r2[1/sin2θ(∂2/∂φ2)] となるので、 ∇2=1/r (∂2/∂r2)r+1/r2[1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ))]+1/r2[1/sin2θ(∂2/∂φ2)] これから、 ^H=- {1/r (∂2/∂r2)r+1/r2[1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ))]+1/r2[1/sin2θ(∂2/∂φ2)]}+V(r)

2.変数を分離しよう

<パラメータを動径とその他に分離しよう> つぎはパラメータをrとそれ以外で分離しよう。 ψ(r,θ,φ)=R(r)Y(θ,φ)とおく。 これを先のハミルトニアンのシュレーディンガー方程式に代入しよう。 [ {1/r (∂2/∂r2)r+1/r2[1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ))]+1/r2[1/sin2θ(∂2/∂φ2)]}+V(r)]RY=-ERY 分配してから、非偏微分の定数扱いを前に出す。 Y[{1/r (∂2/∂r2)rR]+R{1/r2[1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ))]Y+1/r2[1/sin2θ(∂2/∂φ2)Y}=-{E-V(r)}RY 各項にr2/RYをかける。 1/R[{1/r (∂2/∂r2)rR]+1/Y{1/r2[1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ))]Y+1/r2[1/sin2θ(∂2/∂φ2)Y}=-{E-V(r)}r2 左辺をr関係、右辺を角度関係に分離し、これが等しいので定数λとおく。 r/R (∂2/∂r2)rR]+r2{E-V(r)} = ー1/Y{[1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ))]Y+[1/sin2θ(∂2/∂φ2)Y}=λ。 動径の方程式はR/r^2をかけて、 1/r ∂2/∂r2(rR)+{{E-V(r)} ーλ/r2}R=0 角の方程式はYをかけて、 1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ(Y)) + 1/sin2θ (∂2/∂φ2(Y))+λY=0 <角のパラメータをθとφに分離しよう> つぎはパラメータをY=s(θ)f(φ)とおき、角の方程式に代入しよう。 1/sinθ(∂/∂(sinθ ∂/∂θ(sf)) + 1/sin2θ (∂2/∂φ2(sf))+λsf=0 非偏微分の定数扱いを前に出す。 f/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ(s)) + s/sin2θ (∂2/∂φ2(f))+λsf=0 各項にsin2θ/sfをかける。 sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ(s)) 1/s+ 1/f (∂2/∂φ2(f))+λsin2θ=0 左辺をθ関係、右辺をφ関係に分離し、これが等しいので定数M2とおく。 sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ(s)) 1/s +λsin2θ=-1/f (∂2/∂φ2(f))=M2 ・θについてはs/sin2θをかけて、s=s(θ)の方程式  1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ(s)) +[λ- M2/ sin2θ]s=0 ・φについては、fをかけて、 f(φ)の方程式は   (∂2/∂φ2(f))+fM2=0 これで、角についても方程式を分離できたね。

3.球面のつぶ波の関数を求めよう

<東経φの方程式からfの波>

  ∂2/∂φ2(f)+fM2=0  f(φ)=Aexp(iMφ) A=1/sqrt(2π)Mは整数   とする2π周期でくるくる回る波だ。  Mは磁気量子数という。

<北極からの南緯θの方程式からsの波>  1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ(s)) +[λ- M2/sin2θ]s=0  z=cosθに戻して、 s(θ)=PM(z)とおくと、  d/dz[ (1-z2)d/dz(PM(z))]+[ λ- M2/(1-z2)]PM(z)=0  ルジャンドルの微分方程式になる。 λ=l(l+1)で、lが非負整数とすると、  ルジャンドル多項式P_l(z)=1/2^l *l! (z^2-1)^(l) l階微分したもの P_0(z)=1, P_1(z)=1/2(z^2-1)'=z, P_2(z)=1/4*2![ (z^2-1)^2]^(2)=1/8 (z^4-2z^2+1)''=1/8(12z^2-4)=1/2(3z^2-1) .........  ルジャンドル関数P^M_l(z)が解となる。  m=abs(M)<=lとするとき、  P^M_l(z)=(1-z^2)^(m/2) * d^m/dz^m (P_l(z))  例えば、 P^0_1(z)=(1-z^2)^0/2 *P_1(z)=z P^1_1(z)=(1-z^2)^1/2 *P_1(z)'=sqrt(1-z^2) z' P^0_2(z)=(1-z^2)^0/2 * P_2(z)=1/2(3z^2-1) P^1_2(z)=(1-z^2)^1/2 * P_2(z)'=sqrt(1-z^2) 1/2(3z^2-1)'=sqrt(1-z^2) 3z P^2_2(z)=(1-z^2)^2/2 * P_2(z)''=(1-z^2)1/2(3z^2-1)''=(1-z^2)3 だから、  P^0_1(cosθ)=cosθ  P^1_1(cosθ)=sqrt(1-cos^2θ) (cosθ)'= sinθ(-sinθ)=-sin^2θ  P^0_2(cosθ)=1/2(3cosθ^2-1)  P^1_2(cosθ)=sinθ (3cosθ)=3sinθcosθ  P^2_2(cosθ)=3sin^2θ

<fとsのまとめて、球面の波を1つの式Yにする>
Mが整数、lが非負の整数のとき、 m=abs(M), ε=if(M>0, (-1)^M, 1)とするとき、角度関係の解は次のようになります。 Y^M_l(θ,φ)=N^M_l s(θ)f(φ) =ε sqrt[(2l+1)/4π * (l-m)!/(l+m)!] P^M_l(cosθ) exp(iMφ) たとえば、 Y^0_1=sqrt(3/4π*1!/1!) P^0_1(cosθ)exp(i0 )= sqrt(3/4π) cosθ Y^1_1=-sqrt(3/4π*0!/2!) P^1_1(cosθ)exp(i1φ )=- sqrt(3/4π*2) [-sin^2θ] exp(i φ)=sqrt(3/8π) sin^2θ exp(i φ) Y^0_2=sqrt(5/4π*2!/2!) P^0_2(cosθ)exp(i0 )= sqrt(5/4π) 1/2(3cosθ^2-1) Y^1_2=-sqrt(5/4π*1!/3!) P^1_2(cosθ)exp(i1φ )=- sqrt(5/4π*6) 3sinθcosθ exp(i φ) =-sqrt(15/8π) sinθcosθ exp(i φ) Y^2_2=sqrt(5/4π*0!/4!) P^2_2(cosθ)exp(i2φ )= sqrt(5/4π*24) 3sin^2θ exp (i 2φ) = sqrt(45/96π) sin^2θ exp (i 2φ)=sqrt(15/32π) sin^2θ exp (i 2φ) <球面のつぶ波Y> さっきみたように、球面の解、つぶ波はY^M_l(θ,φ)となったね。 これを球面調和関数と呼んだりする。発散せずに、おとなしく球面で振動を繰り返すから調和してる。 Mはz軸をくるくる回る磁気の量子数だった。Mは磁気量子数 lの正体は角運動量演算子を導入するとわかる。 角運動量Lは古典論理では、動径rと運動量pの外積L=r×pだった。 これを量子化した演算子で置き換えると、 3次元座標は(x,y,z) ⇒ ( x,y,z) 3次元運動量は(px,py,pz) ⇒ ‐ (∂/∂x、∂/∂y、∂/∂z)だった。極座標に直すを ^Lx=y^pz-z^py=- (sinφ ∂/∂θ + cotθ cosφ∂/∂φ) ^Ly=z^px-x^pz=  (cosφ ∂/∂θ - cotθ sinφ∂/∂φ) ^Lz=x^py-y^px=‐ ∂/∂φ これから^L^2=^Lx^2+^Ly^2+^Lz^2 =......= -[1/sinθ ∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ)+i/sin2θ)∂2/∂φ2] ここで、もともとの角の方程式を思い出そう。 1/sinθ(∂/∂θ(sinθ ∂/∂θ(Y)) + 1/sin2θ (∂2/∂φ2(Y))+λY=0 ^L^2/( -) Y+λY=0となるね。 つまり、 ^L^2Y= λY (λ=l(l+1) lは非負の整数) ^L^2の固有方程式の解、固有関数がYになっていて、 l(l+1)が固有値だということ。 また同様に、^Lzf‗M=M f_Mでもある。(計算は略) Y=s(θ)f(φ)としたのだから、 Yは^Lzの固有関数でもあり、そのときM が固有値になっている。 言い換えると、角運動量状態を表す量子数M,lによって、球面のつぶ波Yが完全に決まる。 L=1のとき、固有値はhbar 1(1+1)=2hbarだから、これが運動量演算子の2乗値となる。 これから、運動量の大きさがhbarの√2=1.414倍で、z成分が0, ±hbarのどれかになるから、方向が 限定される。 これから、lは方向量子数と呼ばれることになった。

4.節のイメージトレーニング

動径の方程式は次回に回します。いよいよ、3次元の波が具体化されるでしょう。 でも、その前に、3Dの波のイメージトレーニングだけは、しておきたい。 <節について> φ(x)=sin(nπx/a) x軸の[0,a]区間の波です。 1次元の波線の節は点でした。山と谷の境目の点ですね。 山または谷を腹と呼ぶことにする。 節の点数は、腹の数の和ー1になるね。 φ(x)φ(y)=sin(nπx/a) sin(nπy/a) xy平面[0,a]×[0,a]領域の波です。 2次元の波面の節は山と谷の境目直線です。 xの腹が1、yの腹が1なら節は0本 xの腹が2、yの腹が1なら節は1本 xの腹が3、yの腹が1のとき節は2本 xの腹が2、yの腹が2で順に山、谷、山、谷と中心を1周するときは、4本の節分が中央に集まり2本。 だから、節の本数はx腹+y腹-2になるね。 φ(x)φ(y)φ(z) =sin(nπx/a) sin(nπy/a) sin(nπz/a) xyz空間[0,a]×[0,a]×[0,a]領域の波です。 3次元の波体の節は湧と吸の境の面となるかな。 x、y、zの腹の数が1,1,1なら節は0面 腹の数が2、1、1なら、x方向に湧きと吸いの2つの固まりがあり節は1面。 3,1,1なら例えば、吸い、湧き、吸いの3つのグミがx方向にならぶ。節は2面。 2,2,1なら、z軸をかこんで、吸い、湧き、吸い、湧きの4つのグミが並ぶ。節は2面。 2,2,2なら、3次元に吸い、湧きが交互に8つのグミが並ぶ。節は3面。 だから、節の面数はx腹+y腹+z腹ー3 球面調和関数Yというつぶ波の節はどうなっているか。 磁気量子数 M と方位量子数 l が、つぶ波の「節(ふし)」の数を支配しています。 中心からの距離 r が一定の球面上で、つぶ波がどのように分布しているのでしょう。 l(方位量子数)は、球面上にある「節の線の総数」を決めます。 lが増えるほど、模様が細かくなります。M(磁気量子数)は、その節のうち、何本が「縦方向(経線)」であるかを決めます。 残りの l-m本は「横方向(緯線)」の節になります。 <エネルギーの和と縮重について> さて、最初に極座標を扱ったときに変数分離ができるから計算できる(カンタンというわけではない) という方針で進んできたね。 つぶ波の式をそれぞれのパラメータのつぶ波の積で表すことができた。 くわしくは省きますが、 3次元の井戸型(xが[0,a],yが[0,b],zが[0,c]の範囲だけポテンシャルが0で、他では無限大の障壁)では x,y,z軸の方向のつぶ波の腹の数をnx, ny, nzとし、途中で変わらない量をkとしておく。 つぶ波のエネルギーは Enx=k(nx/a)^2, Eny=k(ny/b)^2, Enz=k(nz/c)^2 となり、 つぶ波全体のエネルギーはEnx,ny,nz=Enx + Eny +Enzと和になるという法則がある。 nはエネルギー準位だ。 カンタンな例では、上にある、1辺aの立方体に閉じ込められたつぶ波では、 もちろん、(nx,ny,nz)=(2,2,1),(2,1,2),(1,2,2)ではエネルギーの和はk(a)^2(4+4+1)=9k(a)^2で等しくなる。 だから、このエネルギーレベル9に3つの異なるが対称的な状態、向きを変えただけが詰まっている。 このように、量子数、腹の数の組み合わせが違う状態が同じエネルギーの高さにあるとき、それらの状態を縮合(しゅくごう)しているという。 (例) 2次元でb=a=1の正方形のとき (nx,ny)=(3,1),(1,3)は9のエネルギーレベルで縮合している。 (例) 3次元でa=b=c=1の正方形のとき (nx,ny,nz)=(1,1,2),(1,2,1),(2,1,1)は6のエネルギーレベルに縮合しているね。 (例) 3次元でa=1,b=c=2の正方形のとき (nx,ny,nz)=(3,1,2),(3,1,2)のように、y、zの量子数を入れ替えても量子数について対称だから、縮合するね。 課題:腹と節の関係をgeogebraで視覚化してみよう。 2次元のsurface関数を使うと、山と谷がカンタンにかけます。 nx=slider(1,5,1) ny=silder(1,5,1) surface(s,t, sin(nx pi x /4) sin(ny pi y/4), s ,-2,2, t,-2,2)としましょう。 スライダーはグラフィックビューにはりつけ、数式と上下に配置し、 残り半分で、空間図形のビューにつぶ波の曲面が表示されるようにするといいですね。

波には腹と腹の間に節がある